セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
121:食道webを伴ったUpside down stomachの1例
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演者 |
岡本 哲郎(清田病院消化器内科) |
共同演者 |
村松 博士(清田病院消化器内科), 猪俣 英俊(清田病院消化器内科), 田中 信悟(清田病院消化器内科), 長町 康弘(清田病院内科), 山内 尚文(清田病院内科), 小山 隆三(清田病院内科), 井原 康二(清田病院内科), 西里 卓次(清田病院内科) |
抄録 |
食道裂孔ヘルニアの脱出の程度が高度で胃全体が縦隔内に脱出し、さらに軸捻転が加わったupside down stomachは稀な疾患で、これまで本邦ではわずか40例ほどが報告されているのみで、観血的外科手術が行われることが多い。今回われわれは、食道webを合併したupside down stomachの胃軸捻転に対して内視鏡的整復を試み、通過障害の改善を得た症例を経験したので報告する。 症例は87歳女性。認知症にて施設に入居中。平成24年5月某日、前日夕食後からつづく食道つかえ感を主訴に来院した。経鼻内視鏡検査で食道入口部直下に食物残渣の貯留を認め、同時に食道の狭窄を認めた。通常内視鏡に切り替えて残渣の回収を試みるも除去できなかった。胸部CTでは胸部食道に食物残渣を認めたほか縦隔内には大きな食道裂孔ヘルニアが存在しており、その内容は軸捻転した胃であり、いわゆるupside down stomachを呈していた。さらなる内視鏡処置は翌日行うこととし、補液を目的に入院した。翌日、スネアを用いて食道内食物残渣(貝ヒモ)を除去したところ、同部に膜様狭窄部Webを認めた。さらに、レントゲン透視を併用し内視鏡を十二指腸球部まで挿入したうえで、奥らの方法に準じて内視鏡を引いたところ、軸捻転は整復された。食道つかえ感は改善し経口摂取も容易となり、同日退院した。3日後の内視鏡では胸部食道に2か所の食道webが認められたが、既往歴(家族からの聴取)に貧血は明らかでなかった。4か月後に当院を受診した際の内視鏡では食道webは消失していた。 食道webを合併したupside down stomachの稀な症例を経験したので、文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 |
upside down stomach, 食道web |