セッション情報 一般演題

タイトル 114:

右側結腸に限局した一過性虚血性腸炎と思われる1例

演者 小笹 真理子(財団法人小児愛育協会附属 愛育病院 消化器内科)
共同演者 佐賀 啓良(財団法人小児愛育協会附属 愛育病院 消化器内科), 宮下 憲暢(財団法人小児愛育協会附属 愛育病院 消化器内科), 長佐古 友和(財団法人小児愛育協会附属 愛育病院 消化器内科), 三和 公明(財団法人小児愛育協会附属 愛育病院 消化器内科), 斎藤 誠(財団法人小児愛育協会附属 愛育病院 内科), 森岡 正信(財団法人小児愛育協会附属 愛育病院 内科)
抄録 症例:63才男性。 
既往歴:以前大腸ポリープの既往あり、生活歴:喫煙 十数本/日 飲酒歴なし
経過:平成16年頃から脂質異常症があり、不定期に投薬を受けていた。平成24年8月某日に左下腹部の激痛とともに下血があり来院。緊急大腸内視鏡検査にて直腸から横行結腸には異常を認めず、盲腸のバウヒン弁の対側に出血を伴う不整形潰瘍あり、盲腸から上行結腸に限局して浮腫状粘膜と発赤を認め、同時に施行したガストログラフィンによる造影にて拇指圧痕様変化が確認され入院となった。また腹部CT検査では上行結腸に限局して壁の肥厚所見があったが、血管の石灰化等動脈硬化の所見は認められなかった。入院後絶食、補液にて腹痛は徐々に軽快し、出血もなかった。大腸粘膜の細菌培養では常在菌しか検出されず、生検結果では粘膜のびらんを認め間質の浮腫、炎症細胞浸潤があり、虚血性腸炎に合致する所見と考えられた。その後の約2週間後の大腸内視鏡検査の再検では盲腸から上行結腸に発赤、瘢痕を認めるものの潰瘍は改善し、注腸バリウムでも狭窄を残さず改善していた。以上の経過から稀な例ではあるが右側結腸に限局した虚血性腸炎の一過性型と診断した。脂質異常症があり、喫煙歴もあるが、大きな腹部血管の異常はCT上確認できず発症の原因は明らかでなかった。
考察:虚血性腸炎の後発部位は一般に左側結腸に多いとされており、右側結腸の発症例はわずかに報告されているに過ぎない。また報告例も右側結腸の虚血性腸炎では手術例が多いためか壊死型が多いようである。本例のように一過性の虚血性変化が右側の結腸に出現することはまれであり、画像上も興味ある症例と考えられ文献的考察も含め報告する。
索引用語 虚血性腸炎, 右側結腸