セッション情報 シンポジウム1「高齢者における消化管疾患の診断・治療の問題」

タイトル 098:

mFOLFOX6療法において高齢および体が小さいことは好中球減少の危険因子となる

演者 岩永 一郎(北見赤十字病院 消化器内科)
共同演者 江平 宣起(北見赤十字病院 消化器内科), 柳原 志津妃(北見赤十字病院 消化器内科), 佐藤 史幸(北見赤十字病院 消化器内科), 水島 健(北見赤十字病院 消化器内科), 久保 公利(北見赤十字病院 消化器内科), 上林 実(北見赤十字病院 消化器内科)
抄録 【背景】化学療法施行時において年齢あるいは体格によって,抗癌剤の用量を減量することがあるが,判断基準はしばしば不明確である.【目的】全身化学療法施行時の重篤な有害事象の危険因子を探り,初期投与量を加減する際の参考にすること.【対象と方法】2006年1月から2012年8月までに北見赤十字病院消化器内科にてfull doseでmFOLFOX6療法を行われた結腸直腸癌症例145例を対象とした.有害事象についてはCTCAE v3.0を用いて評価し,危険因子の探索にはロジスティック回帰分析を用いて多変量解析を行った.また,初期投与量の加減の参考にするため,治療開始初期の4サイクルのみでの有害事象を対象とした.【結果】対象145例の内訳は男性89例,女性56例,年齢の平均値は64.8歳,PSは0が102例,1が34例,2が5例,3が4例であった.治療開始後初期4サイクルにて減量を行った患者は65例であり,その理由の7割が好中球減少によるものであった.Grade 3以上の食欲不振についてはPS不良が危険因子(オッズ比2.78,95%CI 1.42-5.47),疲労についてはPS(オッズ比4.39,95%CI 1.95-9.90)と年齢(オッズ比0.92,95%CI 0.87-0.98)が危険因子であった.最もGrade 3以上の頻度が高かったのは好中球減少であり,危険因子として年齢(オッズ比1.06,95%CI 1.01-1.10),体表面積(オッズ比0.005,95%CI 0.00-0.07),血清総ビリルビン値(オッズ比2.64,95%CI 0.98-7.13)であった.また,65歳以上かつ体表面積が1.5m2未満の患者では好中球減少は80%に認められ,その多くは早期に抗がん剤を減量していた.【結語】 結腸直腸癌に対するmFOLFOX6療法施行例において,抗癌剤減量の主な理由は好中球減少であり,高齢および体表面積が小さいことが重度の好中球減少の危険因子であることが示唆された.
索引用語 化学療法, 高齢