セッション情報 一般演題

タイトル 099:

KRAS遺伝子 codon 13変異を有する結腸癌に対してcetuximab投与が有効であった1例

演者 小柴 裕(伊達赤十字病院 消化器科)
共同演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院 消化器科), 和田 浩典(伊達赤十字病院 消化器科), 岡川 泰(伊達赤十字病院 消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院 内科), 嘉成 悠介(札幌医科大学 第四内科)
抄録  KRAS遺伝子変異は大腸癌の35-40%に認められ、ほとんどの変異がcodon 12 (約80%)、codon 13 (約20%)に認められる。KRAS遺伝子変異を認める転移を有する大腸癌患者では、抗EGFR抗体製剤による治療効果が期待できないことから、cetuximab (Cmab)の適応はKRAS遺伝子野生型患者のみとされている。また、KRAS遺伝子変異型患者であってもcodon 13 (p.G13D)変異を有する患者に抗EGFR抗体製剤が有効である症例が存在すること、さらには、in vitroの検討ではcodon 13 (p.G13D)変異の癌化能はcodon 12変異よりも低いことなど、KRAS遺伝子変異状態によって本剤の効果に差が生じる可能性が複数の見解から示唆されている。今回われわれは、KRAS遺伝子codon 13 (p.G13D)を有する結腸癌に対しCmabが有効であった症例を経験したので報告する。
 症例は69歳、女性。平成18年10月に盲腸癌で回盲部切除、11月に追加右半結腸切除施行 (tub1-2、pSS、int、INFb、ly1、v1、pN1、stage IIIa)。平成19年11月に肝転移再発で肝内側区域切除術施行し、術後補助化学療法として、FOLFOX4を12コース施行。平成22年4月のCTで多発性肺転移を認め、mFOLFOX6-bevacizumab治療を開始したが、同年5月 L-OHPアレルギーにより3コースで中止。平成22年6月よりFOLFIRI-bevacizumab治療を開始したが、24コース施行後にPDとなった。
 本症例はKRAS遺伝子codon 13 (p.G13D)を有していたが、平成23年8月より三次治療としてCmab+irinotecan (隔週)併用療法を4コース施行し、11月下旬よりCmab単剤投与とした。腫瘍マーカーは減少傾向を示し、平成24年3月まで画像上肺転移巣はSDで経過していた。
 その後、同年4月に胆管転移を認め、胆管ドレナージを施行、5月下旬よりCmab単剤投与を再開したが、多発脳転移も認めた。7月にガンマナイフ治療を施行されたが、全身状態の悪化により8月、永眠された。
索引用語 KRAS遺伝子変異, Cetuximab