セッション情報 一般演題

タイトル 055:

検診の上部消化管内視鏡検査で指摘された食道好酸球増多症例の検討

演者 松薗 絵美(KKR札幌医療センター 消化器科)
共同演者 横山 文明(KKR札幌医療センター 消化器科), 大原 克仁(KKR札幌医療センター 消化器科), 石橋 陽子(KKR札幌医療センター 消化器科), 菅井 望(KKR札幌医療センター 消化器科), 関 英幸(KKR札幌医療センター 消化器科), 三浦 淳彦(KKR札幌医療センター 消化器科), 藤田 淳(KKR札幌医療センター 消化器科), 鈴木 潤一(KKR札幌医療センター 消化器科)
抄録 食道好酸球増多は、食道生検で好酸球増多を認める病態である。その多くは胃食道逆流によるものであるが、好酸球性食道炎、好酸球性胃腸症など消化管特異的な疾患とともに、膠原病、薬物過敏症、好酸球増多症候群など全身疾患の一部として出現することがある。食道好酸球増多が存在する際には、自覚症状、プロトンポンプ阻害薬(PPI)への反応性あるいは内視鏡所見などにより鑑別診断がなされる。今回我々は、自覚症状の殆どない検診者において、内視鏡検査で何らかの異常を認め、食道生検で好酸球浸潤が存在した症例を対象に、自覚症状、PPI反応性、末梢血液検査所見などから好酸球浸潤の病態を検討したので報告する。2010年3月から2012年10月の間に当院で検診目的に施行した上部消化管内視鏡検査により食道に異常所見を認め、生検で食道粘膜好酸球浸潤(好酸球20個以上/HPF)が確認された8例(女性1例、男性7例)を対象とした。全ての症例で通院歴はない。内視鏡終了後の詳細な問診では、3例で軽度の酸逆流症状を認めたが、5例は無症状であった。1例で喘息の既往があり、2例で末梢血好酸球増多を認めた(500/μl、644/μl)。生検の契機となった内視鏡所見は縦走溝、白斑、粗造粘膜であった。3例の有症例を含め5例で常用量のPPIが投与され、2例で症状が改善した。症状が改善した1例では投与5ヶ月で内視鏡所見、組織学的所見も改善したが、1例では1年間の投与によっても内視鏡所見は不変であった。症状、PPIの反応性から考えると、対象症例8例において、胃食道逆流症1例、好酸球性食道炎2例であり、残り5例は診断不明の食道好酸球浸潤との結果であった。これら5例の長期的予後については不明であるが、好酸球性食道炎の内視鏡所見として報告されている縦走溝を有する症例で好酸球浸潤が認められたことより、今後同疾患に進展する可能性も否定できない。無症状であっても好酸球浸潤を来す症例がある程度存在することから、内視鏡所見の詳細な検討も含め、食道への好酸球浸潤の病的意義について検討する必要があると考える。
索引用語 食道好酸球増多, 検診