セッション情報 一般演題

タイトル 172:

複雑な門脈大循環シャントを伴った肝硬変症に対し、2年間に異時的なシャント塞栓術を行った一例

演者 大井 雅夫(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科)
共同演者 本間 久登(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科DELIMITER札幌共立医院消化器科), 秋山 剛英(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 中野 洋一郎(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 吉田 真誠(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科DELIMITER札幌医大 第四内科), 高橋 稔(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 竹内 幹也(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター外科), 古川 勝久(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター内科), 女澤 慎一(札幌共立医院消化器科), 平田 健一郎(札幌共立五輪橋病院 検診センター)
抄録 今回我々は、複雑な門脈大循環シャントを伴った肝硬変症に対し、2年にわたり異時的にシャント塞栓術を行った一例を経験したので報告する。症例は63歳男性、肝硬変症(HBV陽性)にて当院通院中であったが、高アンモニア血症による繰り返す肝性脳症が出現したため、平成22年11月4日入院となる。門脈3D所見では脾腎シャントの他に後胃静脈を介する複雑なシャントを認めた。そこで、まず血小板上昇と脾静脈左腎静脈大循環シャントの血流を低下させる目的で平成22年11月9日部分的脾動脈塞栓術(PSE)を行い、同年12月28日に経皮経肝静脈瘤塞栓術(PTO)にて脾腎シャントを塞栓した。その後外来通院となるが、再び血清アンモニア値の上昇による肝性脳症が出現したため平成23年12月12日入院。CT所見(門脈相)及び血管造影では、門脈血流の著しい減少と、後胃静脈、右胃静脈、胃大網静脈を介する2本の著しい脾腎シャントの発達を認めた。これらの側副血行路を1回で塞栓すると急激な門脈圧上昇に伴う合併症も危惧されたため、まず同年12月19日、PTOにて脾腎シャントへの血流量を低下させる目的にこれらの側副血行路を塞栓し、脾腎シャントの塞栓は二期的に行うこととした。その際、胃食道静脈瘤を予防する目的で左胃静脈も塞栓した。その後再び外来通院となるが、再び血清アンモニア値が上昇傾向となったため平成24年10月17日最終的なバルーン閉塞下逆行性静脈瘤硬化術(BRTO)を目的に入院。左腎静脈閉塞下のシャント造影にて脾腎シャントを二箇所認めたため、ダブルバルーン法にてBRTOを行った。術後の門脈3D所見では脾腎シャントを一部認めるものの、シャント閉塞術により肝内3次門脈枝まで描出された。一連の経過中、特に合併症は認めず、胃食道静脈瘤の増悪も認めず、現在外来経過観察中である。
索引用語 門脈圧亢進症, 脾腎シャント