セッション情報 一般演題

タイトル 074:

当院における膵癌剖検例の臨床病理学的検討

演者 高木 智史(札幌社会保険総合病院 消化器科)
共同演者 今井 亜希(札幌社会保険総合病院 消化器科), 加藤  総介(札幌社会保険総合病院 消化器科), 吉田 純一(札幌社会保険総合病院 消化器科), 腰塚 靖之(札幌社会保険総合病院 外科), 谷 安弘(札幌社会保険総合病院 外科), 富岡 伸元(札幌社会保険総合病院 外科), 中川 隆公(札幌社会保険総合病院 外科), 松岡 伸一(札幌社会保険総合病院 外科), 秦 温信(札幌社会保険総合病院 外科), 佐々木 文章(札幌社会保険総合病院 外科), 高橋 秀史(札幌社会保険総合病院 病理診断科)
抄録 当院で過去10年間に剖検が施行された浸潤性膵管癌26例について臨床病理学的事項を検討した。男性16例、女性10例、平均年齢は71.07歳 (55-85歳)であった。膵頭部癌10例、体尾部癌16例であり、組織所見では管状腺癌20例、腺扁平上皮癌3例、退形成癌3例であった。手術は4例に行われ(頭部癌2例、体尾部癌2例)、術後の化学療法は3例に行われていた。術後のStageではIII1例、IVa2例、IVb1例であった。剖検所見からは局所再発を3例(75%)に認め、肝転移3例(75%)、肺転移2例(50%)、腹膜播種2例(50%)を認めた。手術症例での平均生存期間は495日であった。化学療法は11例に行われていた。塩酸ゲムシタビン(GEM)単独による治療が6例(54.5%)と最も多く、併用療法としてはCDDP+UFT、CDDP+5FU、GEM+S-1などにより治療が行われていた。化学療法が行われた症例の平均生存期間は246.5日であったが、併用療法とGEM単独では生存期間にほとんど有意差は認められなかった。PSが非常に悪かったり高齢、合併症等により初診時からBest supportive careしか行うことができなかった症例は11例であった。癌性腹膜炎による腹部膨満感などを主訴に受診となった症例では平均生存期間は極端に短く22.2日であった。全症例を通じては癌性腹水による循環不全が死因となったものが10例(38.6%)と最も多く、次に多発性肝転移や胆管炎により肝不全が6例(23.0%)、癌性胸膜炎や肺転移による呼吸不全が4例(15.3%)であった。現疾患のため急激に全身状態の悪化した症例としては、大動脈周囲リンパ節転移から下大静脈に穿破し腹腔内出血をきたしたものが1例と閉塞性膵炎から小腸穿孔をきたしたものが1例あった。また他疾患によるものとしては、急性冠症候群によるものが2例あった。剖検により他臓器癌が明らかとなった症例は4例あったが(肺癌1例、前立腺癌1例、甲状腺癌1例、食道癌1例)、いずれも予後を規定するものではなかった。
索引用語 膵癌, 剖検