セッション情報 一般演題

タイトル 057:

再生検によりHER2過剰発現が判明した進行胃癌の一例

演者 奥田 博介(恵佑会札幌病院 腫瘍内科)
共同演者 吉井 新二(恵佑会札幌病院 消化器内科), 山本 桂子(恵佑会札幌病院 消化器内科), 小平 純一(恵佑会札幌病院 消化器内科), 高橋 宏明(恵佑会第2病院 内科), 穂刈 格(恵佑会札幌病院 消化器内科), 塚越 洋元(恵佑会札幌病院 消化器内科), 蔵前 太郎(恵佑会札幌病院 消化器外科), 西田 靖仙(恵佑会札幌病院 消化器外科), 細川 正夫(恵佑会札幌病院 消化器外科)
抄録 【症例】72歳男性。高血圧・高脂血症にて近医通院中のところ貧血を指摘され前医紹介受診。上部消化管内視鏡検査にて胃体下部前壁小彎から前庭部にかけて全周性の3型腫瘍と幽門狭窄、CTにて多発肝転移を認め、胃癌Stage IVと診断された。前医で施行された生検では中分化型腺癌・HER2陰性と判定されていた。当院での治療を希望され転院、胃空腸バイパス術前の精査として行った上部消化管内視鏡検査の際に再度生検を施行した。結果HER2の免疫染色において、管状腺癌部は染色されないものの、乳頭状構築を示して増殖する部で細胞膜の全周が強陽性に染色され、IHC(3+)と判定された。【考察】トラスツズマブは、胃癌において初めて延命効果の確認された分子標的治療薬であり、HER2陽性の進行・再発胃癌に対し、フッ化ピリミジン系抗がん剤およびシスプラチンと併用することが標準治療である。その効果はHER2が強発現しているときにのみ認められるため、日常臨床において有効な患者選択を行うためにHER2の発現を検索することが必須であり、不十分な検索により有効な薬剤選択が不可能となる事態を避けることが必要である。しかし胃癌の組織型は多彩であるため、その診断に際して注意が必要であることが指摘されている。適切な検査回数や生検個数については議論のあるところであるが、疾患特異性を念頭においた検索が重要であり、示唆に富む症例と考え報告する。
索引用語 HER2, バイオマーカー