セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 053:

著明な壁外発育を呈した横行結腸粘液癌の1例

演者 三浦 翔吾(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科)
共同演者 藤井 重之(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 山田 充子(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 平子 匡(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 安部 智之(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 櫻井 環(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 黒田 裕行(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 前田 征洋(製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科), 藤田 美悧(製鉄記念室蘭病院 病理・臨床検査室), 仙丸 直人(製鉄記念室蘭病院 外科・呼吸器外科), 在原 洋平(札幌医科大学 第四内科), 定免 渉(札幌医科大学 第四内科)
抄録  大腸粘液癌は、全大腸癌中3~10%と比較的まれであり、細胞外に多量の粘液を産生し粘液結節を形成する。分化型腺癌に比べ、発見時に壁への浸潤が深くすでにリンパ節転移や腹膜播種を認めるなど進行している症例が多く、予後は不良である。今回我々は、著明な壁外発育を呈した横行結腸粘液癌の1例を経験したので報告する。 症例は69歳女性。平成24年7月頃から右腹部に腫瘤を触知。精査目的に当院外来を受診した。画像検査を施行した所、腹部エコーでは、長径70mm程の内部が低エコーの腫瘍を認め、CTでは横行結腸の頭側に嚢胞状で辺縁不整な腫瘍として認められ、一部横行結腸壁と連続していることから、同部位由来の腫瘍の可能性が考えられた。 下部消化管内視鏡検査を施行した所、横行結腸に粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた。腫瘍の大部分は正常粘膜に覆われていたが、一部に粘膜自潰を認め、生検鉗子での圧迫にて粘液様物質の流出を認めた。生検結果は、Group4、Highly suspicious for mucinous adenocarcinomaであった。 そのため、当院外科にて横行結腸切除術(D3郭清)を施行した。摘出標本では横行結腸の中央部近くに粘膜下腫瘍様で外向性発育を示す腫瘍を認め、粘膜面には著変を認めなかった。組織学的検討では、腫瘍の大部分は漿膜下層内で増殖する、mucinous adenocarcinomaであり、固有筋層、粘膜下層に進展していたが上皮の原発病変は明らかではなかった。 壁外発育を示す大腸粘液癌はまれであり、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 粘液癌, 大腸癌