セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 158:当院で経験した化学療法後に発症したde novo B型肝炎の検討 |
演者 | 山本 義也(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科) |
共同演者 | 木下 賢治(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 原田 一顕(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 川本 泰之(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 大和 弘明(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 小川 浩司(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 畑中 一映(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 成瀬 宏仁(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科) |
抄録 | 【目的】悪性腫瘍、特に血液疾患において免疫抑制・化学療法施行時のHBV再活性化に伴う重篤な肝機能障害が問題となり、2009年にガイドラインが作成され対策が進められつつあるが、広く浸透しているとまでは言い難い状況である。当院で経験した化学療法後に発症したde novo B型肝炎について検討したので報告する。【方法】平成23年12月までの5年間に当院血液内科で化学療法が導入された悪性リンパ腫248例のうち、de novo B型肝炎を発症した6例を解析対象とし、臨床経過、HBVマーカーの推移などについて検討した。【結果】248例全体のHBV関連マーカーについては、HBs抗原陽性/陰性;14/234例、HBV DNA;2.1~6.3(中央値2.8)log copies/ml、HBs抗原陰性例のうちHBcまたはHBs抗体陽性/陰性/不明;91/96/47例だった。化学療法の内訳はRituximab併用/非併用;206/42例だった。HBV対策として、HBs抗原陽性例に対しては核酸アナログを全例投与、既往感染例には24例で予防投与がなされていた。De novo B型肝炎を発症した6例は、男性/女性;3/3例、年齢;51~84(中央値63)才だった。治療導入後6.6~76.2ヶ月で肝炎発症しており、全てRituximab併用化学療法を受けていた。HBs抗原は全例陽転化し、3例ではHBe抗原の陽転化も確認された。発症時のHBV DNAは3.4~9.1(中央値5.7)log copies/ml、ALTは50~340(中央値156)IU/Lと上昇していたが、核酸アナログがすみやかに投与され、全例重症化には至らず軽快した。【考察・結論】今回、de novo B型肝炎発症のリスクが高いとされる悪性リンパ腫について検討したところ、化学療法経過中HBV既往感染91例中6例でde novo 肝炎の発症が確認された。当院では以前より核酸アナログの予防投与など積極的なB型肝炎対策が取り組まれていたが、HBc/s抗体の測定やHBV DNAの定期的なモニタリングについて、現行のガイドラインを遵守していない場合もあり、院内での連携をさらに強めてゆく必要があるかと思われる。 |
索引用語 | B型肝炎, 再活性化 |