セッション情報 一般演題

タイトル 179:

胃腫瘍性疾患におけるSB Knife JrとIT knifeの比較検討~経済効率の検討もふまえて~

演者 藤田  朋紀(小樽掖済会病院 消化器病センター)
共同演者 小松 悠弥(小樽掖済会病院 消化器病センター), 北岡 慶介(小樽掖済会病院 消化器病センター), 和賀 永里子(小樽掖済会病院 消化器病センター), 高梨 訓博(札幌医科大学第四内科), 勝木 伸一(小樽掖済会病院 消化器病センター), 加藤 淳二(札幌医科大学第四内科)
抄録 【背景・目的】胃腫瘍性疾患に対するESDは現在様々なモダリティが存在している.我々は胃ESDにおいては主としてIT knifeを使用してきた.IT knifeの特性としては迅速な切除が可能である反面,止血処置に止血鉗子を要する症例が多く,経済効率に難点がある.そこで切開・剥離・止血が一本のKnife で可能であるSB Knife Jrに着目してIT knifeとの比較検討を行った.【対象】2011年1月から2012年10月までに胃ESDを行った121症例中,IT knife経験年数8年の同一術者で単一モダリティの使用で完遂した33症例39病変(IT knife 群18症例22病変・SB Knife Jr 群15症例17病変)を対象とした.【成績】平均切除径・平均腫瘍径・平均切除時間はIT knife 群・SB Knife Jr 群で各々4.2(1-7.5)cm, 2.4(0.5-6.5)cm, 60.4(6-240)分・4.5(3-6)cm, 1.7(1-3)cm, 71.7(24-144)分の結果でありいずれも優位差はなかった.合併症はSB Knife Jr 群の1例で穿孔(6.7%)と後出血(6.7%)を認めたが優位差はなかった.また,SB Knife Jr 群の1例で術前に認識できなかった切除範囲内に存在していたadenomaの1例が側方断端陽性(6.7%)であった.一方IT knife 群は全例で止血鉗子を使用していたもののSB Knife Jr 群は15症例中1例に止血鉗子を使用したのみであり, 止血処置はSB Knife Jrで可能な場合が多いと思われた.使用したモダリティのコストの検討ではSB Knife Jr と比較してIT knife 群ではIT knife+止血鉗子が必要であったため約1万円以上のコストが多くかかっていた.【結論】胃ESDにおいてSB Knife JrはIT knifeと比較し平均切除径・平均切除径・平均切除時間に有意差はなかった一方で止血鉗子を要しない症例が多く,低コストで治療可能であった.SB Knife Jrは特に反転操作において鉗子の方向を切離面に合わせることに時間を有することがあるが,経済面を考えると特に反転操作を要しない前庭部のESDではSB Knife Jrの使用を試みる価値はあるものと思われた.
索引用語 胃ESD, SB Knife Jr