抄録 |
症例は85歳男性.平成24年10月中旬より前医に腰痛精査目的に入院中であったが,10月下旬に鮮血様下血を認めた.同日下部消化管内視鏡検査を施行するも明らかな出血性病変は認めなかった.翌日上部消化管内視鏡検査を施行したが出血性病変は認めなかった.その後下血なく経過していたが,入院9日目の夜より下血が再度出現し,その後も下血が持続した.入院11日目朝まで計約7000mlの大量下血を認め,前回下血時に施行した上下部消化管内視鏡検査にて出血性病変を認めなかったことから小腸出血が疑われ当院へ紹介・転院となった.搬入後3phaseCTを施行したところ,動脈相にて直腸に造影剤の漏出所見を認めた.直腸からの出血を疑い緊急下部消化管内視鏡検査を施行したところ,直腸(Rb)にて動脈性出血を認め,クリッピングにて止血処置を施行した.その後再出血なく経過し,退院となった. 当院の顕性小腸出血症例に対するアルゴリズムでは,まず3phaseCTを行い,出血病変が明らかなでない場合にカプセル内視鏡検査を行い,その情報を基にダブルバルーン内視鏡検査の挿入ルートを決定し行っている.今回,小腸出血を疑い先行して行った3phaseCTによって出血源を同定し得た直腸出血の1例を経験したので若干の考察を加えて報告する. |