セッション情報 一般演題

タイトル 106:

大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)における穿孔の危険因子の検討

演者 水島 健(北見赤十字病院 消化器内科)
共同演者 岩永 一郎(北見赤十字病院 消化器内科), 柳原 志津妃(北見赤十字病院 消化器内科), 佐藤 史幸(北見赤十字病院 消化器内科), 久保 公利(北見赤十字病院 消化器内科), 江平 宣起(北見赤十字病院 消化器内科), 上林 実(北見赤十字病院 消化器内科), 鈴木 美櫻(北海道大学病院 光学診療部), 大森 沙織(北海道大学病院 光学診療部), 大野 正芳(北海道大学病院 光学診療部), 高橋 正和(北海道大学病院 光学診療部), 小野 尚子(北海道大学病院 光学診療部), 中川 学(北海道大学病院 光学診療部), 間部 克裕(北海道大学病院 光学診療部), 清水 勇一(北海道大学病院 光学診療部), 加藤 元嗣(北海道大学病院 光学診療部), 坂本 直哉(北海道大学病院 消化器内科)
抄録 【背景】大腸腫瘍に対するESDは保険収載され,近年急速に普及しつつある.大腸ESDはその解剖学的特性(薄い腸壁,部位による屈曲した結腸襞の存在)の為に技術的難易度が高く,かつ穿孔の危険性も高い.【目的】大腸ESDに関して部位別の治療成績を比較検討することで技術的困難部位の検索を行うと共に,術中穿孔に関する危険因子を抽出する.【対象・方法】2009年11年から2012年10月までに北海道大学病院光学診療部及び北見赤十字病院でESDを施行した大腸腫瘍129病変を対象とした.直腸/S状結腸/下行結腸/横行結腸/上行結腸/回盲部(R/S/D/T/A/Ce)の5部位に関しての治療成績[A.一括断端陰性切除率(%) B.腫瘍径:min, median C.剥離速度:min/cm2, median D.偶発症:穿孔(%),後出血(%)]の比較検討を行った.穿孔に関しては1.開腹歴,2.病変の局在(右半結腸vs左半結腸),3.襞にまたがる病変,4.線維化の有無,5.切除時間,6.切除面積,7.剥離速度の7項目を挙げロジスティック回帰分析を用いて危険因子の探索を行った.【結果】治療成績は一括断端陰性切除率(87/75/100/85.7/90.9/88.5),腫瘍径(24.0/21.0/21.0/20.0/22.0/25.0),剥離速度(8.8/11.9/8.0/8.7/8.1/6.2)で,各部位の間で治療成績に有意差は認めなかった.偶発症は穿孔(1.9/0/0/14.3/13.6/0),後出血(2.1/0/0/0/0/1.0)であった.穿孔の危険因子に関しては統計学的有意差を認めなかったが,右半結腸の病変で穿孔のリスクが高い傾向であった[オッズ比:8.125,P=.068].【結語】技術的難易度に関しては部位別の治療成績には差を認めなかった.一方で穿孔に関しては病変の局在が右半結腸である場合にその危険が高い傾向にあり,右半結腸に対してのESDを行う場合は特に注意が必要であると考えられた.
索引用語 大腸, ESD