セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 020:

潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスの有効性

演者 永井 一正(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 野村 昌史(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 三井 慎也(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 田沼 徳真(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 村上 佳世(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 浦出 伸治(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 西園 雅代(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 田中 一成(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松波 幸寿(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
抄録 【背景】2009年7月、難治性の潰瘍性大腸炎(UC)に対してタクロリムスが保険適応となった。当院では午後10時にタクロリムス3mgの初回投与を行い、12時間後の血中トラフ値から維持投与量を決定し、早期の高トラフ(10~15ng/mL)到達を目指している。【目的】上記方法でタクロリムスを投与したUC患者の短期経過と長期経過を評価し、その効果に影響を与える因子を明らかにする。【方法】2009年7月から2012年11月の期間に上記投与法でタクロリムスを内服したUC患者16例を対象とした。年齢は21~70歳(中央値38歳)、男女比は5:3、病型は全大腸炎型13例/左側大腸炎型3例、臨床経過は慢性持続型4例/再燃寛解型12例であった。有効性の評価はclinical activity index(CAI)を用い、4以下を臨床的寛解とした。以下の3項目につき検討した。1)投与2週後・4週後の寛解率、2)転帰、3)寛解率・転帰と以下の因子との関係;病悩期間、前治療薬、深掘れ潰瘍・樹枝状潰瘍の有無【結果】1)投与2週後の寛解率は69%(11/16)、投与4週後の寛解率は75%(12/16)であった。2)投与4週後に臨床的寛解が得られた12例中6例はタクロリムス中止後も寛解が維持されたが、残りの6例はタクロリムス減量中あるいは中止後に症状が再燃した。3)PSL使用例は4週後の寛解率が有意に低かった。また、深掘れ潰瘍・樹枝状潰瘍を有する症例、PSL使用例はタクロリムス中止後の寛解維持率が有意に低かった。【まとめ】PSL使用例、深掘れ潰瘍・樹枝状潰瘍を有する症例はタクロリムスの寛解導入率、中止後の寛解維持率が低く、投与に際して注意が必要と思われた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス