セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 139:

抗血栓薬服用患者に対する大腸ポリープ切除術

演者 川上 裕次郎(札幌医科大学 内科学第一講座)
共同演者 山下 健太郎(札幌医科大学 内科学第一講座), 飯田 智哉(札幌医科大学 内科学第一講座), 伊志嶺 優(札幌医科大学 内科学第一講座), 牛島 慶子(札幌医科大学 内科学第一講座), 那須野 央(札幌医科大学 内科学第一講座), 沼田 泰尚(札幌医科大学 内科学第一講座), 一色 裕之(札幌医科大学 内科学第一講座), 斉藤 真由子(札幌医科大学 内科学第一講座), 鈴木 亮(札幌医科大学 内科学第一講座), 山本 英一郎(札幌医科大学 内科学第一講座), 能正 勝彦(札幌医科大学 内科学第一講座), 山本 博幸(札幌医科大学 内科学第一講座), 有村 佳昭(札幌医科大学 内科学第一講座), 篠村 恭久(札幌医科大学 内科学第一講座), 佐藤 康史(札幌医科大学 内科学第四講座)
抄録 (目的)内視鏡時の抗血栓薬取扱いに関して、現在当院では2005年の内視鏡学会ガイドラインに準拠した院内休薬基準が設けられている。一方2011年以降は、短めの休薬基準に設定した札幌コンセンサスに臨床試験として登録するケースも増えている。後出血が比較的多い内視鏡処置である大腸ポリープ切除を抗血栓薬服用患者に対して行う際の、当院における休薬期間や合併症を検討した。(方法)院内休薬基準に従うか札幌コンセンサスに登録するかは主治医の判断に委ねられた。ポリープ切除後に明らかな肉眼的出血を来し内視鏡的止血を要した例を出血例とした。(成績)抗血栓薬服用者に対する大腸ポリープ切除術を過去2年間に計81例行った。抗血栓薬はアスピリン36例、チエノピリジン15例、ワーファリン28例で、2剤併用が24例、3剤併用が4例含まれ、へパリン置換を26例に施行した。各薬剤の平均休薬期間はアスピリン6.9日(0~21)、チエノピリジン5.8日(3~14)、ワーファリン8.8日(2~30)であった。出血は81例中5例(6.2%)にみられ、抗血栓薬を処方されていない群の出血率(3/159=1.9%)に比べ高い傾向にあった(P=0.08)。出血例の抗血栓薬はアスピリン単剤が1例(3日休薬)、ワーファリン単剤が2例(3~7日)、ワーファリン+抗血小板薬が2例(3~7日)であった。ワーファリンの4例は全例へパリン置換を施行、内視鏡直前のPT-INRは全例1.5以下で、1例でへパリン投与中にAPTTが異常高値を示した。出血例のポリープの部位や形態、サイズには特別な傾向なく、出血した5例中4例で予防的クリッピングを行っていた。Hbは平均2.1g/dl (0.6~3.4)低下したが全例輸血は不要であった。観察期間中に新たな血栓症は発生しなかった。(結論)抗血栓薬服用者に対する大腸ポリープ切除では後出血が多い傾向にあり、後出血はワーファリンのへパリン置換例に多くみられた。
索引用語 抗血栓薬, EMR