セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 035:

膵管癌術後3年後に生じた十二指腸乳頭部癌に対し膵頭十二指腸切除術(残膵全摘術)を施行

演者 阿部 紘丈(北海道大学病院 消化器外科2)
共同演者 松本 譲(北海道大学病院 消化器外科2), 新田 健雄(北海道大学病院 消化器外科2), 松村 祥幸(北海道大学病院 消化器外科2), 中西 善嗣(北海道大学病院 消化器外科2), 倉島 庸(北海道大学病院 消化器外科2), 浅野 賢道(北海道大学病院 消化器外科2), 海老原 裕磨(北海道大学病院 消化器外科2), 中村 透(北海道大学病院 消化器外科2), 加藤 健太郎(北海道大学病院 消化器外科2), 土川 貴裕(北海道大学病院 消化器外科2), 田中 栄一(北海道大学病院 消化器外科2), 七戸 俊明(北海道大学病院 消化器外科2), 平野 聡(北海道大学病院 消化器外科2)
抄録 【緒言】膵管癌術後の残膵の異時性再発は稀であり,切除報告例も少ない.今回我々は膵管癌に対し膵体尾部切除術3年後に生じた十二指腸乳頭部癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(残膵全摘術)を施行し,その背景膵に広範にPanIN病変から浸潤性膵管癌まで存在した一例を経験したので報告する.
【症例】74歳男性.膵体部癌の診断で当科にて膵体尾部切除術を施行.病理所見はPb, TS1(1.7×1.2cm), Tubular to papillary carcinoma(tub1>tub2>pap), int, INFb, ly0, v1, ne2, mpd(+), pT3, pCH(-), pDU(-), pS(-), pRP(+), pPV(-), pA(-), pPL(-), pOO(-), pN0, pStageIII, pPCM(-), pBCM(-), pDPM(-)であった.その後当院消化器内科にて術後補助化学療法(S-1)を4コース施行後,経過観察されていた.手術より約3年後,定期受診時に膵胆管拡張を指摘され,精査の結果,十二指腸乳頭部癌(露出型)と診断された.当科にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(残膵全摘),胆道再建を施行した.病理組織学的には乳頭部癌だけでなく背景膵に広範にPanIN病変(1-3)を認め,ところどころに浸潤癌も認めた.どの浸潤性膵管癌病変も術前画像を見直しても指摘できるものではなかった.初回手術時の組織像をあらためて見直すと尾側膵の背景膵にも広範にPanIN(1-2)病変を認めていた.
【考察】浸潤性膵管癌の発生経路の一つとして,PanIN病変から浸潤癌へと進行する経路が考えられているが,本症例はそれを裏付ける症例と思われた.
【結語】背景膵に広範にPanIN病変を認める場合は残膵にも同様の病変が残存することを念頭に置き,注意深く経過観察する必要があると思われた.
索引用語 膵管癌, 残膵癌