セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 052:

出血性小腸潰瘍を合併したcutaneomucosal venous malformationの一例

演者 我妻 康平(札幌医科大学 第一内科)
共同演者 山下 健太郎(札幌医科大学 第一内科), 鈴木 亮(札幌医科大学 第一内科), 斉藤 真由子(札幌医科大学 第一内科), 新沼 猛(札幌医科大学 第一内科), 伊志嶺 優(札幌医科大学 第一内科), 有村 佳昭(札幌医科大学 第一内科), 能正 勝彦(札幌医科大学 第一内科), 山本 博幸(札幌医科大学 第一内科), 荻野 次郎(札幌医科大学 臨床病理部), 佐野 晋司(自衛隊札幌病院 外科), 近藤 伸彦(自衛隊札幌病院 外科), 西舘 敏彦(札幌医科大学 第一外科), 篠村 恭久(札幌医科大学 第一内科)
抄録 Cutaneomucosal venous malformation (VMCM)は血管腫や動静脈奇形が全身、特に頭頸部に多発するまれな遺伝性疾患で、消化管出血の合併も報告されている。Blue rubber bleb nevus syndrome (BRBNS)も全身に血管腫が多発する遺伝性疾患で消化管血管腫の合併が知られておりVMCMと同一疾患という説もあるが、BRBNSの血管腫は体幹や四肢に好発するといわれている。今回我々は小腸潰瘍から大出血を来したVMCMと思われる一例を経験したので、文献的考察を加え報告する。症例は40台男性、家族歴に特記すべき事項なし。学童期に頸部血管腫を切除したが、以後も血管腫は緩徐に増加・増大しBRBNSと診断され経過観察中であった。1-2年前から一過性の血便を年数回自覚していたが、大腸内視鏡では異常を認めなかった。2012年9月上旬に赤ワイン色の血便が始まり止血しないため2日後に前医を受診、ショック状態であり緊急入院となった。上下部内視鏡では明らかな出血源を認めなかったが、血管腫と思われる腫瘤が腹腔内に多発していた。入院後も血便は間欠的に続き10単位以上の輸血を施行、小腸血管腫からの出血が疑われ当科転院となった。血管腫は両頸部、口唇、舌、口腔、咽頭に顕著で体幹や四肢にはみられず、BRBNSよりはVMCMにより合致する臨床像であった。カプセル内視鏡では小腸に血管腫その他の異常所見を認めず、次に行った小腸内視鏡で回盲弁から30-40cmの遠位回腸に1cm大の単発潰瘍を認めた。生検では非特異的炎症像であったが、小腸内視鏡の翌々日から出血が再開、カプセル内視鏡再検で潰瘍からの出血であることを確認し回腸部分切除術を施行した。腹腔内には血管腫が多発していたが潰瘍近傍には存在せず、病理組織学的にはUl-II相当の潰瘍であったが、潰瘍底から漿膜下層にかけての血管増生が顕著であった。
索引用語 VMCM, 小腸潰瘍