セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 025:

Sorafenib投与により組織学的にCRを確認した肝細胞癌の1例

演者 小池  祐太(市立札幌病院 消化器内科)
共同演者 永坂 敦(市立札幌病院 消化器内科), 藤田 與茂(市立札幌病院 消化器内科), 遠藤 文菜(市立札幌病院 消化器内科), 中村 路夫(市立札幌病院 消化器内科), 工藤 俊彦(市立札幌病院 消化器内科), 西川 秀司(市立札幌病院 消化器内科), 樋口 晶文(市立札幌病院 消化器内科)
抄録 【症例】73歳,男性。【現病歴】1988年に肝細胞癌(HCC)に対し肝部分切除術を施行し、以降もHCC再発に対し集学的治療を施行したが、2010年5月、肝S3に再発巣を認めた。肝動脈塞栓療法(TACE)が試みられたが、明らかな腫瘍濃染像は認められず治療は困難であった。ラジオ波焼却療法(RFA)も考慮されたが、病変を腹部USにて認識することができなかったため、2010年10月、Sorafenib 400 mg/dayが導入された。2011年2月の腹部CTでは腫瘍濃染域の拡大を一時認めたが、2011年5月の腹部CTでは腫瘍濃染像の消失が確認された。2012年1月に脳梗塞を発症し永眠された。死後病理解剖の結果から肝S3に結節性病変は認められたがviableなHCCは認められずnecrotic noduleであり、他臓器に新規病変は認められず、病理学的に完全奏功(Complete Response:CR)を確認した。【考察】本邦では2009年5月にHCCに対する新規抗癌剤として分子標的薬であるSorafenibが承認された。Sorafenibの治療成績としてはSHARP試験、Asia-Pacific 試験において、全生存期間と無増悪期間の改善が示されているが奏功率は低く、CRは0%であった。しかし、本邦において稀ではあるがsorafenibによるCR症例報告が散見されており、人種差による影響が考慮されている。ただ、病理学的にCRを確認し得た症例報告は極めて稀であり、貴重な症例を経験したのでここに報告する。
索引用語 sorafenib, CR