セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 002:

再発食道内分泌細胞癌に対し,CDDP,CPT-11併用化学療法の再導入が有効であった一症例

演者 伊東 文子(市立室蘭総合病院)
共同演者 金戸 宏行(市立室蘭総合病院), 石上 敬介(市立室蘭総合病院), 山本 至(市立室蘭総合病院), 那須野 正尚(市立室蘭総合病院), 中垣 卓(市立室蘭総合病院), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院), 清水 晴夫(市立室蘭総合病院)
抄録 食道内分泌細胞癌は,食道癌の1-2%を占めるといわれ,予後は極めて悪いとされている.今回我々は,放射線併用化学療法を施行後,完全奏功を得たが,一年後に再発をきたし,CDDP,CPT-11併用化学療法の再導入にて治療効果を得た,一症例を経験したので報告する.症例は64歳男性.2010年9月より心窩部痛および胸のつかえ感を認め当科受診となる.上部消化管内視鏡検査にて胸部中~下部食道に10cmに渡る2型腫瘍を認め,生検にて食道内分泌細胞癌と診断した.CTでは肝に多発する低吸収域を認め,食道原発内分泌細胞癌 T2N2M1 Stage 4b (食道癌取り扱い規約 第10版)と診断し,CDDP,CPT-11併用化学療法施行.その後,原発巣に対し放射線照射施行し,完全奏功を得た.外来にて経過観察としていたが,一年後,CTにて気管分岐部リンパ節の著明な腫大(直径40mm),肝S6に直径10 mm大の低吸収域を認めた.PETにて両病変に集積を認めたため,食道内分泌細胞癌の再発と診断した.再発までに,一年以上経過していることから,化学療法は一次治療と同様のCDDP,CPT-11併用化学療法をおこなった.6コース後のCTでは,肝の低吸収域の変化は認めなかったが,腫大を認めていた気管分岐部リンパ節は消失していた.食道内分泌細胞癌に対する一次治療において,近年,肺小細胞癌に準じた化学療法が有効であったとする報告が散見しているが,二次治療も含め,標準治療の確立には至ってはいない.本症例においては,再発に対して一次治療の再導入をおこない,治療効果をえることができ,再発食道内分泌細胞癌に対し,化学療法の有用性が示唆された,と思われる.
索引用語 食道, 内分泌細胞癌