セッション情報 一般演題

タイトル 142:

家族性大腸腺腫症(FAP)患者に対する徹底的な内視鏡的ポリープ摘除の治療成績

演者 平川 昌宏(札幌医科大学 第四内科)
共同演者 佐藤 康史(札幌医科大学 第四内科), 大沼 啓之(札幌医科大学 第四内科), 二階堂 ともみ(札幌医科大学 第四内科), 久保 智洋(札幌医科大学 第四内科), 保木 寿文(札幌医科大学 第四内科), 林 毅(札幌医科大学 第四内科), 佐藤 勉(札幌医科大学 第四内科), 宮西 浩嗣(札幌医科大学 第四内科), 瀧本 理修(札幌医科大学 第四内科), 小船 雅義(札幌医科大学 第四内科), 加藤 淳二(札幌医科大学 第四内科)
抄録 【背景】FAPは、早期から大腸に発癌をきたす遺伝性疾患である。本疾患における大腸癌の予防法は大腸摘除術のみであるが、大腸内視鏡検査の普及や、血縁者のサーベイランスにより、未症状で腺腫が小さな段階で診断されるFAP患者も増え、日常診療においてはQOL維持の観点からも内視鏡的にポリープを摘除し、経過をみることも行われている。そこで、今回、FAP患者に対し当科にて内視鏡的ポリープ摘除を繰り返し行い、経過観察している症例の治療成績につき報告する。【対象と方法】当科でフォロー中のFAP患者17例のうち、非密生型かつ手術を勧めたが手術を希望されなかった症例、もしくは大腸術後であるが10cm以上大腸が残存している症例のいずれかであり、十分なインフォームドコンセントのうえ、内視鏡的ポリープ摘除によるフォローを希望された、12例(男性:女性 3:9、平均年齢43.8歳)を対象とした。これらの患者を古典的FAP群(A群:4例)、ポリープが100個未満のattenuated FAP群(B群:4例)、大腸術後群(C群:4例)にわけ、大腸癌の発生の有無、偶発症の発生率等につき解析した。【結果】平均大腸内視鏡施行回数はA群6.5回(観察期間中央値5.8年)、B群6.5回(観察期間中央値7.0年)、C群5.5回(観察期間中央値3.6年)であった。一回あたりの平均ポリープ摘除数はA群13.2個、B群1.2個、C群2.8個であった。経過観察中、全例において大腸癌の発生は認めず、穿孔や後出血などの偶発症も認めていない。【結語】非密生型のFAP患者に対する、徹底的なポリープ切除は大腸癌の予防に有効であり、大腸全摘術を回避できる可能性が示唆された。更なる症例の集積と長期予後の解析が必要と考える。
索引用語 家族性大腸腺腫症, ポリープ摘除