セッション情報 一般演題

タイトル 118:

大腸憩室炎を外来で経過を見るためにエコー検査は有用である

演者 武藤 修一(苫小牧市立病院 消化器内科)
共同演者 宮本 秀一(苫小牧市立病院 消化器内科), 江藤 和範(苫小牧市立病院 消化器内科), 小西 康平(苫小牧市立病院 消化器内科)
抄録 【背景】一般臨床において,大腸憩室炎はほとんどが軽症にとどまり,憩室内部の炎症と憩室周囲の限局的な膿瘍形成の状態となっていると考えられている.エコーは,その憩室周囲の膿瘍や脂肪織の炎症を評価する事ができる検査であり,水城らはエコー検査を用いる事で,外来治療が可能か判別できる可能性があると報告している(診断と治療,2006).【目的】我々も同様の腹部エコーによる画像診断を用いて憩室炎に対して外来治療をする事を試みた.【方法】水城らはGrade1の評価となる「憩室エコーと2cm未満の膿瘍形成」までであれば状況が許せば外来で経過を見る事が可能であり,Grad2の評価となる「憩室エコーと2cm以上の膿瘍形成,または腹腔内穿孔を伴う」は入院が必要とした.2012年4月から11月までの当科にて腹部エコー検査で評価し得た12人の大腸憩室炎症例について検討した.【結果】エコー所見は,11例がGrade1で1例がGrade2あった.外来のみで治療を完遂した症例は5例,入院となった症例は7例であった.外来で経過を見る場合は,診断の3-4日後に再来後,症状の悪化もしくはエコー検査で悪化が見られた場合は入院とし,症状の改善とエコー検査の改善が見られた場合は,投薬のみで再来は終了とした.エコー検査結果とは関係なく,入院を希望されたのが1例であった.症状の悪化など再来後の入院は2例みられた.残りの4例は強い腹痛や,発熱,採血上の強い炎症所見,Grade2の画像所見のため入院となった.Grade1の症例は,入院日から食事開始まで約4日程度であった.外来観察した症例において,その後の大きな合併症や早期の再発は認めなかった.【考察】既報告と同様に,エコー検査を用いる事で,外来のみで治療を完遂することは可能であった.エコー検査は,憩室炎の診断と重症度判定に非常に重要な画像検査と考えられた.
索引用語 エコー, 憩室炎