セッション情報 | シンポジウム1「高齢者における消化管疾患の診断・治療の問題」 |
---|---|
タイトル | S1-3:ESDを施行した高齢者の胃癌非治癒切除例の検討 |
演者 | 浦出 伸治(手稲渓仁会病院 消化器病センター) |
共同演者 | 野村 昌史(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 三井 慎也(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 田沼 徳真(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 村上 佳世(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 西園 雅代(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 永井 一正(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 田中 一成(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター) |
抄録 | 【背景と目的】ESDで非治癒切除となった高齢者の胃癌症例に対しては、患者の希望や合併症などを考慮して必ずしも推奨された追加治療が行われるわけではない。今回当院においてESDを施行した高齢者の胃癌非治癒切除例の予後について検討する。【対象と方法】2003年7月から2011年12月までに当院で胃ESDを施行した75歳以上の高齢胃癌患者139例を対象に、治癒切除群100例と非治癒切除群39例(追加治療群12例、経過観察群27例)に分け、(1)無再発生存率、(2)全生存率、(3)死亡原因 の3項目について比較検討した。観察期間は0~106か月(中央値36か月)であった。 【結果】(1)無再発生存率(1年 / 3年 / 5年(%), 治癒切除群と比較したp値) 非治癒切除群:89.2 / 78.9 / 75.0, p=0.23 非治癒追加治療群:83.3 / 83.3 / 83.3, p=0.88 非治癒経過観察群:92.0 / 76.9 / 71.4, p=0.12 (2) 全生存率(1年 / 3年 / 5年(%), 治癒切除群と比較したp値) 治癒切除群:100 / 93.7 / 81.3 非治癒切除群:100 / 92.8 / 80.7, p=0.61 非治癒追加治療群:100 / 100 / 80.0, p=0.47 非治癒経過観察群:100 / 92.9 / 84.4, p=0.88 (3)死亡原因 治癒切除群:胃癌死1例(ESDと別部位の進行胃癌)、他病死12例(他臓器癌5例、呼吸器疾患4例、腎不全1例、不明2例)。非治癒切除群:原病死1例(ESDで遺残あり、追加治療を希望されず)、他病死4例(他臓器癌3例、大動脈解離1例)。 【まとめ】今回の検討ではESD治癒切除例と非治癒切除例の間に生存率の差を認めず、原病死は追加治療を希望しなかった1例のみであった。ESDで非治癒切除となった高齢者の胃癌症例に対して追加治療を行うかどうかは合併症などを考慮して総合的に判断することが重要と思われた。 |
索引用語 | 胃ESD, 高齢者 |