セッション情報 一般演題

タイトル 077:

19年間の経過観察中に腫瘍の増大を認めた膵ガストリノーマの1切除例

演者 吉田 真誠(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科)
共同演者 秋山 剛英(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 大井 雅夫(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 高橋 稔(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 中野 洋一郎(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 古川 勝久(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 本間 久登(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 竹内 幹也(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 外科), 平田 健一郎(札幌共立五輪橋病院 検診センター), 海老原 裕磨(北海道大学消化器外科II), 平野 聡(北海道大学消化器外科II)
抄録 【症例】64歳女性. 【現病歴】1993年に背部痛・胃部不快感あり, 近医受診した. 膵腫瘤を指摘されたため, 精査目的に当院紹介となった. 腹部USで膵体部に大きさ19×14mmの境界明瞭で辺縁平滑, 内部均一な低エコー腫瘤を指摘された. 腹部血管造影や超音波内視鏡検査を施行されたが, 確定診断に至らず, また血清ガストリンなどのホルモン値に異常なく, 経過観察となった. 以後, 定期的に外来で経過観察されていたが, 膵腫瘤が徐々に増大傾向を示したため, 再度精査目的に2012年7月に当科入院となった. 腹部USで膵腫瘤の大きさは24×18mmであり, 辺縁がやや不整で内部不均一であった. CTでは早期濃染を示した. 上部消化管内視鏡検査で2か所に胃潰瘍があり, 血清ガストリン値は436pg/mLと軽度高値であった. 組織診断目的に膵腫瘤に対してEUS-FNAを施行し, 組織像は神経内分泌腫瘍に矛盾なく, ガストリン陽性であった.カルシウムを用いた選択的動脈内刺激物注入試験 (カルシウム-SASI試験)において, 他部位に病変を認めなかったため, 2012年10月に膵体尾部切除術を施行された. 膵体部に25×18mmの腫瘤を認め, 腫瘍細胞はクロモグラニン, シナプトフィジン, CD56陽性でガストリンが部分的に陽性であった. Ki-67標識率は9.4%で, 核分裂像数は3/10 HPFであった. 以上からWell differentiated endocrine carcinoma (NET G2, Gastrinoma ; WHO 2010)と診断された. 術後は現在まで再発なく, 外来経過観察中である.【考察】ガストリノーマは他の膵神経内分泌腫瘍と比べ, 悪性度が高いため小さくても肝やリンパ節へ転移をきたすことが多いと報告されており, 長期にわたり経過を追えた症例は少ない. 今回, 我々は19年間と長期に渡り, 経過を追えた膵ガストリノーマの1切除例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 膵ガストリノーマ, 長期経過観察