セッション情報 | シンポジウム1「高齢者における消化管疾患の診断・治療の問題」 |
---|---|
タイトル | S1-5:高齢者進行結腸直腸癌症例に対する化学療法の有用性 |
演者 | 中村 路夫(市立札幌病院 消化器内科) |
共同演者 | 鈴木 脩斗(市立札幌病院 消化器内科), 千田 圭悟(市立札幌病院 消化器内科), 板谷 一史(市立札幌病院 消化器内科), 小池 裕太(市立札幌病院 消化器内科), 藤田 與茂(市立札幌病院 消化器内科), 小池 文菜(市立札幌病院 消化器内科), 高氏 修平(市立札幌病院 消化器内科), 工藤 俊彦(市立札幌病院 消化器内科), 永坂 敦(市立札幌病院 消化器内科), 西川 秀司(市立札幌病院 消化器内科), 樋口 晶文(市立札幌病院 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】臨床試験のサブ解析などにおいて進行結腸直腸癌(以下、大腸癌)に対する化学療法は高齢者においても比較的安全に実施できるといった報告が散見されるが、その一方でそういった報告は大学病院や各がんセンターなどのいわゆるHigh volume centerを中心とした行われた臨床試験においてeligibility criteriaをみたす非常の条件のよい患者を対象とした解析であることが多く、必ずしも状態の良くない高齢者も含めた実地臨床を反映した結果とは言いにくい。今回、我々は一般病院の実地臨床における高齢者に対する大腸癌化学療法の有用性について検討した。【目的】当院における大腸癌化学療法施行例を対象とし、高齢者(65歳以上、70歳以上、75歳以上、80歳以上)において化学療法が生存に寄与するかどうかを後ろ向きに比較検討する。【方法】2008年1月から2012年11月までに当院において大腸癌化学療法を開始した109症例を対象とし、65歳・70歳・75歳・80歳をcut offとし、cut off値よりも若年である群と高齢である群の全生存期間(OS)についてKaplan-Meier法を用いて後ろ向きに比較検討した。【結果】全症例の年齢中央値は69.3歳(40.8-84.7歳)。観察期間中央値は18ヶ月(0-58ヶ月)。性別は男性/女性:62/47。PSは0/1/2/3/4:45/36/25/2/1。65歳未満/65歳以上は38名/71名、70歳未満/70歳以上は57名/52名、75歳未満/75歳以上は81名/28名、80歳未満/80歳以上は101名/8名。化学療法開始日を起算としたOS中央値は全症例で29.9ヶ月。75歳をcut offとした場合においてのみ若年群と高齢群の両群間に有意差が見られ、その場合のOS中央値はそれぞれ 34.2ヶ月 vs 17.1ヶ月(p = 0.001)であった。【結語】75歳を超える高齢者症例においては化学療法による延命効果がそれより若年層と比して低いことが示された。75歳を超える高齢者においてはリスクベネフィットバランスを踏まえた上で慎重に治療方針を検討する必要がある。 |
索引用語 | 大腸癌, 化学療法 |