セッション情報 一般演題

タイトル 094:

急性胆石性膵炎に対する膵管ステント留置術 (第2報)

演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院 消化器科)
共同演者 小柴 裕(伊達赤十字病院 消化器科), 和田 浩典(伊達赤十字病院 消化器科), 岡川 泰(伊達赤十字病院 消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院 内科), 前田 喜晴(伊達赤十字病院 外科), 佐藤 正文(伊達赤十字病院 外科), 川崎 亮輔(伊達赤十字病院 外科), 行部 洋(伊達赤十字病院 外科), 中島 誠一郎(伊達赤十字病院 外科), 嘉成 悠介(札幌医科大学 第四内科)
抄録 【目的】急性胆石性膵炎 (ABP)に対する発症早期の内視鏡的治療 (EST・胆管ドレナージ)は有用である。内視鏡的膵管ステント留置術 (EPS)は、ERCP後膵炎予防や様々な膵疾患の治療に有用な手技であるが、ABPに対するEPSの有用性に関する報告は散見されるのみである。今回、ABPに対するEPSの有用性と安全性について検討した。
【方法】対象はH14年1月~H24年11月に経験したABP 83例のうち、入院48時間以内にERCPを施行した58例。EPSを施行した25例 (A群)とEPSを施行しなかった33例 (B群)について、背景因子、胆管挿管率 (胆管ドレナージ率)、EST施行率、偶発症などを比較検討した。膵管ステントは5Fr3cm両端flap付Geenen pancreatic stent (COOK Endoscopy)を使用した。
【成績】1) 年齢、性別、発症および入院からERCPを施行するまでの時間、初回ERCP検査時間、厚労省急性膵炎重症度判定基準 (2010年)の重症度、血清amylase値、CRP値などに関して両群に有意差は認めなかった。抗血栓薬服用例はA群 32.0% (8/25)はB群 3.0% (1/33)に比して有意に多かった (P=0.008)。2) 初回ERCPの選択的胆管挿管率はA群 88.0%(22/25)、B群 93.9%(31/33)であり有意差は認めなかった(P=0.745)。3) 初回ERCPでのEST (needle knife precutを含む)施行率はA群 72.0% (18/25)はB群 100% (33/33)に比して有意に低率であった (P=0.005)。4)膵合併症 (6cm以上の仮性嚢胞の形成、walled-off necrosisへの進展、necrosectomy施行)はA群 8.0%、B群 12.1%で有意差は認めなかった (P=0.940)。ABPによる死亡率では、A群 (0%)はB群 (12.1%)に比して少ない傾向にあった (P=0.200)。
【結論】ABPに対するEPSは安全で有用な手技であり、EST困難例や抗血栓薬服用例などのEST不適切例に対して有用である。真の有用性の評価には、prospective RCTが必要である。
索引用語 胆石性膵炎, 内視鏡的膵管ステント留置術