セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 190:

広範な胆管狭窄を来したIgG4関連硬化性胆管炎の一例

演者 高添 愛(旭川医科大学 第二内科)
共同演者 山北 圭介(旭川医科大学 第二内科), 岩本 英孝(旭川医科大学 第二内科), 鈴木 裕子(旭川医科大学 第二内科), 今澤 雅子(旭川医科大学 第二内科), 北野  陽平(旭川医科大学 第二内科), 和田 佳緒利(旭川医科大学 第二内科), 太田 雄(旭川医科大学 第二内科), 須藤 隆次(旭川医科大学 第二内科), 玉木 陽穂(旭川医科大学 第二内科), 岡田 充巧(旭川医科大学 第二内科), 麻生 和信(旭川医科大学 第二内科), 羽田 勝計(旭川医科大学 第二内科)
抄録 症例は94歳男性、黄疸を主訴に当科を受診された。血液検査上、著明な黄疸と肝胆道系酵素及びIgG4の上昇を認めた。CTでは左右肝内胆管の拡張と造影効果を伴う総胆管の壁肥厚を認めた。ERCPでは膵管には狭細像を認めず、総胆管から両側肝内胆管にかけた広範な狭窄を認め、IDUS像では均一な全周性の壁肥厚を認めた。同時に行った病理組織検査では一部の細胞にIgG4陽性の形質細胞を認め、悪性所見は認めなかった。IgG4関連硬化性胆管炎を疑ったが、他のIgG4関連疾患の合併を認めず、病理学的所見でも診断基準を満たさなかったため、ステロイドによる治療効果を含めた診断を行う方針となった。PSLを0.6mg/kg/dayで開始した。黄疸は徐々に改善し、2週間後に施行した胆管造影で狭窄の改善を認め、ステロイド治療の効果ありと判断した。IgG4関連硬化性胆管炎の診断で治療を継続しており、現在のところ再燃はない。IgG4関連硬化性胆管炎は高率に自己免疫性膵炎などIgG4関連疾患の合併を認め、特徴的な画像所見をきたす。IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012によると胆管像はtyp1からtype4に分類されているが、本症例のように総胆管全領域から肝内胆管まで広範に狭窄を来す例はいずれの分類にもあてはまらず、同様の報告も検索した限りではない。今回は総胆管を含め広範な胆管狭窄を来し、他のIgG4関連疾患を合併しなかったため悪性腫瘍や原発性硬化性胆管炎などとの鑑別に苦慮したが、ステロイドトライアルが診断に有効であった。
索引用語 IgG4関連硬化性胆管炎, ステロイドトライアル