セッション情報 一般演題

タイトル 104:

Pagetoid spreadを伴った肛門管低分化腺癌の1例

演者 大森 沙織(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野)
共同演者 大野 正芳(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野), 鈴木 美櫻(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野), 高橋 正和(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野), 森 康明(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野), 中川 学(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野DELIMITER中川胃腸科), 小野 尚子(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野DELIMITER北海道大学病院 光学医療診療部), 山本 純司(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野), 中川 宗一(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野DELIMITER中川胃腸科), 間部 克裕(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野DELIMITER北海道大学病院 光学医療診療部), 工藤 俊彦(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野), 清水 勇一(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野), 加藤 元嗣(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野DELIMITER北海道大学病院 光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野), 畑中 佳奈子(北海道大学病院 病理部)
抄録 Pagetoid spreadを伴った肛門管低分化腺癌の1例【はじめに】乳癌が乳管を通じて乳頭・乳輪の表皮内に進展した状態をPaget病と呼称される。このPaget病ときわめて類似した臨床像・組織像を示すが、乳房以外の部分に生じるものを乳房外Paget病と呼ぶ。また、生殖器・泌尿器・直腸肛門の癌が皮膚に進展し乳房外Paget病と酷似した臨床像・病理組織像を呈することがあり、Paget spreadと呼ばれる。原疾患の診断・治療が重要であり、皮疹自体は予後に影響しないため、二次性乳房外Paget病として、原発性の乳房外Paget病と区別される。今回、Paget spreadを伴う肛門管癌を経験したので報告する。【症例】80歳代の女性。3年前より肛門周囲のびらんを自覚していた。徐々に増悪がみられ2012年6月に近医から当院形成外科へ紹介となった。同部位からの生検で二次性乳房外パジェット病の診断となり、消化管検査目的に当科へ紹介となった。下部消化管内視鏡検査で直腸、肛門部に腫瘤性病変は認められなかったが、肛門部は下層より隆起していた。痔核のためと思われたが、腫瘍浸潤の可能性も考慮し生検を施行した。結果はAdenocarcinoma(por-sig)であり、Paget spreadを伴う肛門管癌の診断となった。治療は希望されず、現在経過観察中である。【考察】肛門管癌の占拠部位別頻度は全大腸癌の0.8%といわれており稀である。その中で肛囲Paget spreadを伴うものは更に少ないが、腫瘤を形成せず原発の診断が困難であった報告は散見される。近年、免疫染色により乳房外Paget病と二次性のPaget spreadの鑑別が可能になってきているが、確定診断には原発の特定が望ましい。肛門周囲に乳房外Paget病が認められた場合、肛門管癌や直腸癌の存在を十分念頭において診療にあたる必要がある。
索引用語 肛門管癌, paget spread