セッション情報 一般演題

タイトル 115:

MDCTのmultiplanar refomation像が術前診断に有用であった盲腸軸捻転症の2例

演者 杉山 隆治(市立旭川病院 消化器病センター)
共同演者 中嶋 駿介(市立旭川病院 消化器病センター), 鈴木 聡(市立旭川病院 消化器病センター), 中村 和正(市立旭川病院 消化器病センター), 助川 隆士(市立旭川病院 消化器病センター), 小澤 賢一郎(市立旭川病院 消化器病センター), 千葉 篤(市立旭川病院 消化器病センター), 垂石 正樹(市立旭川病院 消化器病センター), 斉藤 裕輔(市立旭川病院 消化器病センター)
抄録 盲腸軸捻転症は結腸軸捻転症の中でも比較的まれな疾患である。今回我々はMDCTのmultiplanar refomation(MPR)像が診断に有用であった盲腸軸捻転症の2例を経験したので報告する。症例1.58歳女性。腹部膨満、腹痛を主訴に近医を受診し、グリセリン浣腸施行するも排便なく、当院救急外来に紹介となった。CTのMPR像により腸管の軸捻転による絞扼性イレウスと診断し、緊急手術を施行した。開腹所見では、回盲部が固定されておらず移動盲腸の状態となっており、同部位が反時計回りに180度捻転していた。腸管壊死虚血を認めず、可逆性変化であったが、盲腸漿膜に一部亀裂を認めた。用手的に腸管を整復し、漿膜損傷部位を修復した。症例2.54歳女性。統合失調症にて近医精神科で投薬を受けており、3回の腸閉塞の既往がある。3日前からの腹部膨満感を主訴に同院を受診し、CTでイレウスの診断で当科に紹介となった。当院でCTを再検し、MDCTのMPR像により、盲腸軸捻転による絞扼性イレウスの診断となり、外科で緊急手術を施行した。開腹所見では、回盲部が固定されておらず、移動盲腸の状態となっており、同部位が時計回転に720度捻転していた。腸管壊死虚血を認めず、可逆性変化であったが、漿膜に一部亀裂を認めた。用手的に腸管を整復し、漿膜損傷部位を修復した。 本症の頻度は結腸軸捻転症中の5.9%と、稀な疾患であり、術前診断に難渋することもある。発症の誘因として手術後・長期臥床・高齢などによる大腸のアトニー、過食、便秘などがあげられ、当院での2例は慢性の便秘を有していた。病態は絞扼性イレウスであり、診断が遅れると穿孔を来し、死に至る危険性がある。手術死亡率14.1%という報告もあり、早急な診断が重要であり、盲腸軸捻転症の診断にMDCTのMPR像は有用であると考えられた。
索引用語 盲腸軸捻転症, CT