セッション情報 シンポジウム2「高齢者における肝胆膵疾患の診断・治療の問題」

タイトル 153:

地方病院における高齢者に対するinterventional EUSの現況

演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院 消化器科)
共同演者 小柴 裕(伊達赤十字病院 消化器科), 和田 浩典(伊達赤十字病院 消化器科), 岡川 泰(伊達赤十字病院 消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院 内科), 前田 喜晴(伊達赤十字病院 外科), 佐藤 正文(伊達赤十字病院 外科), 川崎 亮輔(伊達赤十字病院 外科), 行部 洋(伊達赤十字病院 外科), 中島 誠一郎(伊達赤十字病院 外科), 嘉成 悠介(札幌医科大学 第四内科)
抄録 【目的】近年、interventional EUSすなわち超音波内視鏡下穿刺吸引術 (EUS-FNA)およびEUS-FNAを応用した治療手技に関する報告は増加しているが、高齢者に対するinterventional EUSの有用性に関する報告は1例のみである (Attila T and Faigel DO: Dig Dis Sci 2011)。今回、当院で施行したinterventional EUSの現況を振り返り、高齢者に対するその有用性と安全性について検討した。
【方法】対象は2001年9月~2012年11月までにinterventional EUSを施行したのべ416回 (EUS-FNA319回、治療97回)のうち、80歳以上の高齢者71例 (のべ108回)で、年齢80歳~92歳 (平均84.5歳)、男性31例、女性40例。検討項目は、1) EUS-FNAの穿刺対象内訳、2) 治療手技内訳と手技成功率、3) 偶発症とした。
【成績】1) のべ81回のEUS-FNAの穿刺対象は膵および膵腫瘍34回 (経胃的18・経十二指腸的16)、リンパ節16回 (腹部12・縦隔4)、腹水12 (経胃的9・経直腸的3)、粘膜下腫瘍4回 (胃3・直腸1)、脾臓腫瘤3回、胆嚢腫瘤、直腸壁が各々2回、膵管、肝腫瘤、腹腔内腫瘤、後腹膜腫瘤、肺腫瘤、胃壁膿瘍、縦隔腫瘤、腹腔神経節が各々1回であった。2) のべ27回の治療手技の内訳は、腹腔神経叢 (腹腔神経節)ブロック13回、胆管ドレナージ3回、膵管ドレナージ3回、膵仮性嚢胞・膵膿瘍ドレナージ2回、直腸周囲膿瘍ドレナージ、脾膿瘍ドレナージ、腹腔穿刺ドレナージ、胃壁膿瘍、膵腫瘍による二次性嚢胞 (感染性)および腫瘍性嚢胞疑いに対するドレナージが各々1回であった。手技成功率は92.6% (25/27)で、2例で膵管ドレナージが完遂できなかった。3) 偶発症では、脾腫瘤 (悪性リンパ腫治療後)に対するEUS-FNA後に生じた脾膿瘍・腹水に対しEUS下ドレナージを施行した。また、膵液細胞診目的に膵管穿刺を施行した1例で膵膿瘍を併発し、EUS下ドレナージを施行した。手技に伴う死亡例は認めなかった。
【結論】高齢者においても、interventional EUSは有用で比較的安全であり、適応があれば積極的に施行すべきである。
索引用語 interventional EUS, elderly patients