セッション情報 一般演題

タイトル 132:

当院における腸間膜静脈血栓症の検討

演者 乙黒 雄平(札幌厚生病院 消化器科)
共同演者 西岡 均(札幌厚生病院 消化器科), 伊藤 彰洋(札幌厚生病院 消化器科), 山口 将功(札幌厚生病院 消化器科), 賀集 剛賢(札幌厚生病院 消化器科), 西園 一郎(札幌厚生病院 消化器科), 道上 篤(札幌厚生病院 消化器科), 鈴木 肇(札幌厚生病院 消化器科), 寺門 洋平(札幌厚生病院 消化器科), 菊池 仁(札幌厚生病院 消化器科), 萩原 武(札幌厚生病院 消化器科), 前田 聡(札幌厚生病院 消化器科), 小澤 広(札幌厚生病院 消化器科), 黒河 聖(札幌厚生病院 消化器科), 今村 哲理(札幌厚生病院 消化器科)
抄録 【目的】腸間膜静脈血栓症は比較的稀な疾患であり,治療経過や予後について検討した報告は少ない.今回当院において経験した腸間膜静脈血栓症について治療経過,予後について検討した.【方法】最近10年の当院における腸間膜静脈血栓症で基礎疾患に肝硬変の無い患者を対象に上記項目について検討した.【結果】症例1.50代男性.主訴は下血.既往歴に糖尿病.感染性大腸炎で入院中の腹部CTでSMVに血栓を認めた.原病の治療と伴にdanaparoid sodium使用.治療により血栓消失し,8年6カ月再発なし.症例2.40代男性.主訴は腹痛.既往歴に糖尿病.腸管壊死が疑われ開腹するも壊死を認めず閉腹.治療は急性期のdanaparoid sodium投与,その後warfarin sodium内服し.発症5か月後のCTで血栓消失.5年6カ月再発なし.症例3.40代男性.主訴は腹痛.既往歴に慢性膵炎.膵炎の急性増悪に伴いSMV血栓出現.膵炎の治療のみで血栓消失.5年6カ月再発なし.症例4.50代男性.主訴は腹痛.既往歴に糖尿病,Vater乳頭癌手術後(PPPD).経過観察のみで血栓消失.4年11カ月再発なし.症例5.70代女性.主訴は腹痛.腹部CTにてSMVに血栓を認めた.治療は急性期のdanaparoid sodium投与.その後warfarin sodium内服.2年7カ月再発なし.症例6.40代男性.主訴は腹痛.既往歴に慢性膵炎.治療は急性期のdanaparoid sodium投与.その後warfarin sodium内服.1年6カ月再発なし.当院での腸間膜血栓症に対する長期管理は6例中3例(18か月-66カ月 2例は継続中)に行われていた.平均観察期間57カ月(18か月-102カ月)で,全例血栓の再発は認めていない.【総括】当院における腸間膜静脈血栓症に対する急性期の治療は原病に対する治療が2例,抗凝固療法が4例に行われた.急性期を過ぎた後の抗凝固療法は側副血行路が発達し血栓再発のリスクの高い2例を含む3例に行われた.全例再発認めなかった.腸間膜血栓症は再発後の死亡率が21~37%と高いので,再発リスクが高いと考えられる症例は長期の抗凝固療法が必要であるが,いつまで続けるべきかはコンセンサスがなく今後の症例の蓄積が重要である.
索引用語 腸間膜静脈血栓症, 治療