セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 008:十二指腸穿通部から動脈性出血を来たした悪性リンパ腫の一例 |
演者 | 飯田 智哉(札幌医科大学第一内科) |
共同演者 | 鈴木 亮(札幌医科大学第一内科), 牛島 慶子(札幌医科大学第一内科), 川上 裕次郎(札幌医科大学第一内科), 沼田 泰尚(札幌医科大学第一内科), 一色 祐之(札幌医科大学第一内科), 斎藤 真由子(札幌医科大学第一内科), 山本 英一郎(札幌医科大学第一内科), 能正 勝彦(札幌医科大学第一内科), 山下 健太郎(札幌医科大学第一内科), 山本 博幸(札幌医科大学第一内科), 篠村 恭久(札幌医科大学第一内科) |
抄録 | 症例は62歳男性。平成23年12月より胸部つかえ感を自覚し、平成24年1月5日に前医を受診。上部内視鏡検査で十二指腸球部に直径15mm大の深掘れ潰瘍を認め、CTでは同部位に接する7cm大の壁外腫瘤が穿通していた。その他には腹腔内・縦隔・左鎖骨上窩リンパ節が腫大していた。十二指腸潰瘍部の生検を2回と、開腹下腹腔内リンパ節生検を行ったが診断は付かず、精査加療目的で2月14日に当院紹介となった。PS 1程度であり、倦怠感以外の自覚症状は特に認めなかった。sIL-2Rは4158 U/mlと高値であり、悪性リンパ腫を第一に考え、鎖骨上窩リンパ節生検を施行した。その結果待ちであった2月24日に突然の吐血が出現。緊急内視鏡検査を行ったところ、十二指腸穿通部に巨大なコアグラ塊が付着しており、その脇から拍動性に出血していた。腫瘍からの動脈性出血であり、内視鏡での止血は困難であると判断。当院放射線科へ依頼して緊急IVRを行った。GDA分枝から腫瘍濃染+一部pool所見を認めた。RGEA末梢のcoilingと腫瘍feeder近傍からTAEを行い、腫瘍へのfeederは消失した。その後、鎖骨上窩リンパ節生検の結果はDLBCLである診断が付き、2月29日よりR-CHOPをfull doseで開始した。1コース終了後の上部内視鏡検査では、穿通部潰瘍の縮小傾向を認め食事を再開した。その後の経過で再出血は認めず、他に大きな合併症も出現せず、計6コースを減量することなく施行し完全寛解となった。 消化管へ穿通した悪性リンパ腫では、経過中の消化管出血や穿孔に対して十分な注意が必要となる。急性出血は認めたもののIVRで止血を行い、穿孔などの合併症を起こす事なく完全寛解を得ることが出来た一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 悪性リンパ腫, 穿通 |