セッション情報 一般演題

タイトル 143:

電子ラジアル型超音波内視鏡の有用性と新展開(第3報)―膵疾患の診断におけるReal-time tissue Elastographyの有用性―

演者 長川 達哉(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科)
共同演者 北川 翔(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科), 奥 大樹(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科), 宮川 麻希(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科), 宮川 宏之(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科), 平山 敦(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科)
抄録 【背景】電子ラジアル型超音波内視鏡(ER-EUS)は2002年に臨床応用されて以来,観測装置のフルデジタル化,多機能化,内視鏡機器の改良(360°走査可能な探触子配列)などの技術導入が継続的に行われ,次世代超音波内視鏡システムとして長足の進歩を遂げている.今回は膵疾患の診断におけるER-EUSの有用性を画質およびColor Doppler Imaging(CDI)画像に加え,組織弾性イメージング(Real-time tissue Elastography)機能の点から検討した.【対象および方法】2002年7月から2012年6月までの10年間にスクリーニングあるいは精査目的にてER-EUSを施行した膵疾患180例のうちReal-time tissue Elastographyによる組織弾性を検討した膵病変22例を対象とした.なお使用機種はPentax社製EG-3630UR,EG-3670URK,Hitachi-medico社製EUB-8500,EUB-7500である.全例バルーン法にて膵臓,胆道をB-modeで走査し,腫瘤性病変については周囲膵実質との比較,びまん性病変についてはROI内部の均一性について検討した.【結果】膵管癌8例では周囲膵実質に比べ青色の表示(Hard image)が得られ周囲膵組織より硬度が増しており,中心部に壊死変性を伴った1例では同部位の硬度の低下が認められた.慢性膵炎では赤色,青色の表示が入り混じり膵実質の硬度が不均一になる傾向が見られた.また膵管癌と内分泌腫瘍の各2例ではB-mode上境界不明瞭であった腫瘤形態が硬化性病変として明瞭に描出された.【結語】ER-EUSは良好なB-modeの画質やCDI画像により膵病変の描出能を向上させているが,更にReal-time tissue Elastography機能を加えることにより従来からの形態,血流動態診断に加え,組織弾性(硬度)の情報がリアルタイムで描出可能となり,今後の膵疾患診断の精度向上に寄与するものと考えられた.
索引用語 組織弾性イメージング, Elastography