セッション情報 一般演題

タイトル 076:

膵管内管状腺癌に由来する浸潤癌の1例

演者 長川 達哉(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科)
共同演者 岡田 邦明(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 外科), 村岡 俊二(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 臨床病理科), 北川 翔(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科), 奥 大樹(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科), 宮川 宏之(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科), 平山 敦(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器科)
抄録 症例は65歳女性.高血圧症にて近医受診中,肝機能異常を指摘され当科へ紹介となる.体外式超音波検査(US)では膵頭部に最大径約25mm大の低エコー腫瘍を認め,尾側膵管拡張を伴っていた.また腫瘍辺縁にて総胆管は狭窄像を呈し,上流胆管の拡張を認めた.膵胆管造影検査(ERCP)では下部胆管に狭窄を認め,膵頭部の主膵管には表面結節状の腫瘍が充満し,腫瘍より尾側の膵管は造影されなかった.超音波内視鏡検査(EUS)では膵頭部主膵管を充満するやや低エコーな腫瘍を認め,膵実質への浸潤が疑われた.また体尾部主膵管には主病変から連続する表面凹凸不整な膵管壁の肥厚所見を認め,膵管内進展と考えられた.内視鏡的超音波カラードプラ法(ECDUS)では主病変の内部と膵管内進展の基部に豊富な血流信号を認め,広範な膵管内進展から治癒切除困難と判断され,全身化学療法を施行した.化学療法2コース施行後のECDUSによる効果判定では主病変は縮小し,腫瘍血流は辺縁に僅かに残存するのみであり著明に減少していた.また体尾部の膵管内進展部も不明瞭となり,基部に見られていた血流信号は消失していた.膵管内腫瘤の退縮が見られたため幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検討では膵頭部の主膵管内腔を充満する膵管内管状腺癌を認め,一部が膵実質に浸潤し,更に下部胆管や門脈などの周囲臓器に浸潤していた.主膵管内進展は病理組織学的にも認められ,主病変より尾側の膵管内には壊死組織が充満していた.膵癌取扱い規約(第5版)に準じるとPhb, TS2, nodular type, T4, pCH(+), pDU(-), pS(-), pRP(-), pPVX, pA(-), pPL(-), pOO(-),pPCM(+), pBCM(-), pDPM(-), D2, pN0, pM0, Stage IVa, Invasive carcinoma derived from intraductal tubular carcinoma, intermediate type, INFβ, ly0, v0, ne0, mpd(+)との病理診断であった.
索引用語 膵管内管状腺癌, 内視鏡的超音波カラードプラ法