セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

クモ膜下出血を契機に発見された肝細胞癌の一例

演者 大竹 晋(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野)
共同演者 太田 雄(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 須藤 隆次(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 玉木 陽穂(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 岡田 充巧(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 麻生 和信(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 高添 愛(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 鈴木 裕子(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 今澤 雅子(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 山北 圭介(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 北野 陽平(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 羽田 勝計(旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野), 谷口 雅彦(同 外科学講座消化器病態外科学分野), 及川 賢輔(同 病理部)
抄録 【症例】48歳、女性。【現病歴】平成25年1月7日より腹痛、嘔吐を認め、1月8日午前3時頃、頭痛、痙攣発作を来たし前医に救急搬送された。同院でのCT、MRI検査でクモ膜下出血を認め、血液検査で閉塞性黄疸を呈しておりCTで肝内に腫瘤性病変を認めたため当院脳神経外科に転院。【血液検査】肝胆道系酵素およびビリルビンの上昇を認め、炎症反応は軽度高値であった。肝炎ウイルスマーカーはHBVが陽性であり、肝予備能は肝障害度:A。AFP、PIVKA-II、CA19-9の上昇を認めた。【画像所見】CTでは単純で胆嚢内、総胆管内に高吸収構造を認めた。またDynamic studyでは肝S7/1に早期濃染およびwash outを呈する辺縁不整な径7cm大の腫瘤を認め、腫瘍は門脈右枝に接しP6、P8グリソン周囲への進展が認められた。肝右葉内の肝内胆管は末梢で軽度拡張し腫瘍内に血腫と考えられる淡い高吸収域を含む低吸収域とそれに連続してB6の拡張を認め同部からの胆道出血、閉塞性黄疸と考えられた。EOB-MRI ではCTと同様に平衡相ではwash outされ、肝細胞相では八ツ頭状の形態を呈する欠損像として描出された。PET-CTでは腫瘍に一致して強いFDG集積を認めたが転移性病変は認めなかった。【経過】クモ膜下出血は保存的加療により軽快し1月10日に当科転科。画像上、肝細胞癌が第一に考えられたが、混合型肝癌や肝内胆管癌との鑑別も考慮し肝腫瘍生検を施行し中分化型肝細胞癌と診断、外科にて肝右葉切除術を施行した。病理診断はModerately-differentiated hepatocellular carcinoma, vp2,vv0,va0,b2であった。【考察】本例では画像上、脳動脈瘤は認めず特発性クモ膜下出血と診断され保存的に軽快したが経過から胆道出血に伴う腹痛、嘔吐が誘因となりクモ膜下出血を発症したものと考えられた。検索した限り、クモ膜下出血を契機に診断された肝細胞癌の報告は認めず極めて稀であり、示唆に富む症例と考え報告する。
索引用語 肝細胞癌, くも膜下出血