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タイトル

免疫学的便潜血陰性大腸腫瘍の検討

演者 吉井 新二(NTT東日本札幌病院 消化器内科)
共同演者 清水 佐知子(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 羽場 真(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 川本 泰之(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 横山 朗子(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 赤倉 伸亮(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 間部 克裕(北海道大学病院 光学医療診療部), 加藤 元嗣(北海道大学病院 光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大学大学院医学研究科内科学講座消化器内科学分野)
抄録 【背景・目的】免疫学的便潜血反応(FOBT)は,大腸癌の死亡率を抑制するエビデンスがある.また,大腸ポリープの内視鏡摘除が大腸癌の罹患率・死亡率を抑制することが報告された為,全ての大腸腫瘍性病変を発見し切除することが大腸癌の予防につながると考えられる.しかし,大腸ポリープとFOBTの関連は検討不十分である.今回の目的は,FOBT陰性者における大腸ポリープ検出率(polyp detection rate; PDR)を検討することである.【方法】2004年4月から2012年3月までの期間,当院の任意型検診でFOBT(2日法)を施行し,かつオプションで大腸内視鏡検診を選択した1281例を対象とし,FOBT-群(1173例)とFOBT+群(108例)に分けて比較検討した.【成績】平均年齢は45.8歳(40歳未満2.3%,40歳代66.6%,50歳以上31.1%),男女比1237/44と40歳代男性が多くを占めていた.FOBT+率は8.4%で,FOBT-群,+群両群間の平均年齢,男女比に有意差は見られなかった.全症例における PDRは28.6%で, FOBT+群で31.5%であった一方,FOBT-群でも28.3%と高頻度で両群間に有意差は見られなかった(p=0.50).腫瘍径5mm以上に限定するとFOBT+群12.0%,FOBT-群7.2%とFOB+でPDRが高い傾向はあったが有意差はなかった(p=0.09). 5mm以上のPDRを年代別でみると40歳代でFOBT+群14.5%,FOBT-群5.7%とFOBT+群に有意に多い結果であった(p=0.02).一方,50歳以上では,FOBT+群の11.0%,FOBT-群の10.8%と有意差は見られなかった(p=0.673).【結論】無症状者を対象とする検診においてFOBT陰性でも大腸ポリープを約3割に認めた.特に、50歳以上ではFOBTの結果にかかわらず約1割に5mm以上のポリープを認めた為,FOBTのみでは大腸癌の予防効果は不十分である.しかし,対策型検診に大腸内視鏡を組み入れるには内視鏡医の処理能力,費用対効果などの課題がある為,逐年のFOBTに加えて数年に1度の大腸内視鏡を組み合わせるなどの対策を検討する必要がある.
索引用語 便潜血, 大腸腺腫