セッション情報 一般演題

タイトル

治療困難が予想されるC型慢性肝炎(肝硬変)症例に対する IFN-β/RBV併用療法の有用性

演者 熊谷 研一(函館市医師会病院 消化器科)
共同演者
抄録 C型慢性肝炎治療困難症例に対するIFN-β/RBV併用療法の有用性熊谷研一 函館市医師会病院 消化器科【目的】DAA製剤であるプロテアーゼ阻害剤の登場で、C型慢性肝炎において高い治療効果が得られるようになったが、貧血や皮膚症状の問題もあり、高齢者をはじめ3剤併用療法が躊躇われる患者も多い。当院では精神神経症状、アレルギー等の合併症を有し3剤併用療法やPEG-IFNを用いた療法が導入困難な例に対して、積極的にIFN-β/RBV併用療法を実施しており、今回23例について、特殊な例を含めて報告する。【方法】精神神経症状やアレルギーの既往のある患者23例にIFN-β(フエロン)とリバビリン(RBV)の併用療法を24週-48週(または72週)実施。IFN-βは通常、600万単位を1日1回4週間連日投与後、週3回投与し(事情により経過中に300万単位の1日2分割投与や600万単位の連日投与を施行した例も含む)、リバビリンは400-800mg/日を24週-48週(または72週)投与した。【結果】2009年11月から現在までに治療を開始した23例(男性12例、女性11例)で、年齢43-78歳(65歳以上が12名)、HCVグルーピング1が14例 2が9例。合併症としては、PEG-IFN/RBV療法によるうつ状態発現2例、うつ病やうつ傾向の合併7例、リウマチや喘息、皮膚のアレルギーの合併4例、塵肺や肺気腫が2例で、抗精神薬やステロイドを服用している患者もいた。23例中21例で治療が終了し、SVR(SVR12)は14例(約67%)であった。主な副作用はNSAIDSでコントロール可能な感冒様症状と不安・イライラ感などであったが、十分な対話による精神的なケアと内科で処方可能なレベルの抗不安薬の投与などで対処可能であり、4例を除いて治療は完遂可能であった。【結論】23例の経験ではあるが比較的安全なIFN-β/RBV併用療法を選択することにより、PEG-IFN/RBVと比較してもうつ病やうつ傾向などの治療困難例やアレルギーを有する症例、更に肝硬変症例においても治療を諦めることなく、何より治療を完遂させることが出来、それによって現在出来得る抗ウィルス療法でSVRが得られる可能性があることが示唆された。
索引用語 C型慢性肝炎, IFN-β