セッション情報 一般演題

タイトル

当院にて経験した食道pyogenic granulomaの3例

演者 高梨 訓博(小樽掖済会病院 消化器病センターDELIMITER札幌医科大学 第四内科)
共同演者 勝木 伸一(小樽掖済会病院 消化器病センター), 藤田 朋紀(小樽掖済会病院 消化器病センター), 和賀 永里子(小樽掖済会病院 消化器病センター), 北岡 慶介(小樽掖済会病院 消化器病センター), 小松 悠弥(小樽掖済会病院 消化器病センター)
抄録 【背景】Pyogenic granuloma(化膿性肉芽腫)は主に皮膚や口腔粘膜に発生する良性の血管腫であり、消化管領域で同病変に遭遇することは比較的稀である。今回我々は食道pyogenic granulomaの3例を経験し、本邦報告例の検討も含め報告する。【症例1】78歳、男性。スクリーニング上部内視鏡検査にて食道に隆起性病変が認められ当科紹介となった。病変は中部食道に存在する10mmほどの亜有形性隆起性病変であり、表面は全体に発赤調、一部分葉状で不整所見は認められなかった。前医で生検が施行されており血管腫であったが、本人の希望にて内視鏡的粘膜切除術(以下EMR)が施行された。病理は上皮下に血管の造成と高度の浮腫が認められ、pyogenic granulomaと診断された。【症例2】79歳、女性。総胆管結石にて当科入院となり、その際のスクリーニング上部内視鏡検査にて上部食道に5mm大血豆様発赤が認められた。1年後の内視鏡検査再検では同病変は10mm大、表面一部白苔を有する発赤の強い有茎性隆起性病変へと変化していた。内視鏡上pyogenic granulomaと考えられ、生検は行われなかった。切除も考慮されたが本人が経過観察を希望し、さらに1年後内視鏡検査が施行された。病変は完全に消失しており、同病変の遺残と考えられる小さな白苔が残存しているのみであった。【症例3】66歳、男性。喉頭癌の既往にて近医耳鼻咽喉科にて経過観察されていたが、頸部違和感精査のため施行した上部バリウム検査にて食道に病変が疑われ、当科紹介となった。当科の上部内視鏡検査では食道胃接合部直上に有茎性、一部白苔を有する10mm大の分葉状隆起性病変が認められた。生検では炎症性肉芽であったが、本人の希望にてEMRが施行され、pyogenic granulomaと診断された。【結語】食道pyogenic granulomaの内視鏡像は有茎、亜有形性病変で、強い発赤調、白苔を有するなど特徴的であり、自験例も同様の内視鏡像を呈していた。遭遇する頻度は少ないものの内視鏡診療において念頭におくべき疾患と考えられる。
索引用語 pyogenic granuloma, 食道