セッション情報 一般演題

タイトル

当院におけるcytomegalovirus腸炎の検討

演者 定免  渉(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 )
共同演者 黒田 裕行(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 ), 山田 充子(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 ), 吉田 正宏(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 ), 松野 鉄平(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 ), 佐藤 昌則(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 ), 安部 智之(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 ), 櫻井  環 (製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 ), 藤井 重之(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 ), 前田 征洋(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科 ), 藤田 美悧 (同 病理・臨床検査室)
抄録 悪性腫瘍・AIDS・炎症性腸疾患などの基礎疾患を有し,副腎皮質ステロイド投与や化学療法を受けた易感染性宿主では,cytomegalovirus (CMV)再活性化は日和見感染症として重要である。今回,自施設におけるCMV腸炎の臨床的特徴について後方視的に検証した。【対象】2010年4月から2013年3月までの3年間に当科で診断したCMV腸炎14例(26-82歳(年齢中央値 64歳),男女比 8:6)を対象とした。【結果】基礎疾患は5例が造血器腫瘍と最も多く,炎症性腸疾患3例であった。関節リウマチ,ANCA関連血管炎,ネフローゼ症候群,急性膵炎が各1例で,肺癌・胃癌の重複癌および解離性大動脈瘤の術後が各1例であった。造血器腫瘍は全例で化学療法を施行され,副腎皮質ステロイドおよび免疫抑制剤は10例に投与されていた。症状は大量下血が10例と多く,そのうち4例に内視鏡的止血を要した。内視鏡像は多発性潰瘍が10例,病変部位は大腸が11例と多かった。診断法は,生検6例,血清CMV-IgM抗体陽性3例,CMV抗原血症7例であり,CMV抗原血症と生検がともに陽性が2例であった。治療については全例でgancylovirを投与したが,gancylovir 抵抗性でfoscarnetへ変更した2例中1例でCMV腸炎が改善した。またCMV腸炎による死亡は4例(28.5%)であった。【結語・考察】既報と同様に化学療法後や炎症性腸疾患・自己免疫疾患に対する副腎皮質ステロイド・免疫抑制剤の使用によりCMV腸炎を合併することが多く,その合併により致死率も高い。一方,それらの要因のない高齢者3例(21.4%)でCMV腸炎が認められ,高齢者は手術等による一過性の侵襲によりCMV腸炎を合併しうる。また,抗原血症・血清抗体・生検など単一でのCMV検出感度は必ずしも高くなく,可能な限り各種検査法を同時に測定することにより診断につながると考えられた。また,gancylovir 抵抗性ではfoscarnetへ変更を考慮すべきと考えられた。
索引用語 cytomegalovirus腸炎, 日和見感染症