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タイトル

シングルバルーン内視鏡を用いた術後膵管空腸吻合部狭窄の治療成績

演者 矢根 圭(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 小山内 学(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 潟沼 朗生(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 金 俊文(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 高木 亮(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松本 和幸(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 権 勉成(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松森 友昭(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 友成 暁子(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
抄録 【目的】シングルバルーン内視鏡(SBE)を用いた術後膵管空腸吻合部狭窄例の治療成績について検討する.【方法】2013年4月までに,術後膵管空腸吻合部狭窄を疑いSBEを用いて治療を試みた8例(11回)を対象とした.男性3,女性5,平均年齢62歳(43~83歳).原疾患は膵癌4,胆管癌1, 乳頭部腺腫1,IPMN1,SPN1.術式はPD-IA-1 2,PPPD-IIA-1 1,SSPPD-IIA-1 1 , SSPPD-IIA-2 4.手術からの平均期間は1107日(247~1937日).使用スコープはSIF-Q260(有効長200cm) 4例5回,SIF-Y0004(有効長152cm) 4例6回.検討項目は,1)自覚症状および膵炎の有無,2)手技成功率,3)処置内容,4)処置時間,5)早期偶発症,6)経過,とした.【成績】1)有症状7例(87.5%),膵炎合併5例(62.5%).2)初回手技成功2例,後日再検査時に成功1例で,全体の手技成功率は37.5%(3/8)であった.手技不成功の5例ではスコープは盲端まで到達したが,吻合部の同定が困難であった.不成功例のうち1例は膵癌の吻合部再発と診断した.残る4例のうち1例は膵管内膵石に対するESWLのみ,2例は保存的加療とし,1例はEUS-Rendezvousを試みたが困難であり,経過観察後に手術を施行した.スコープ別の手技成功率はSIF-Q260 25%(1/4),SIF-Y0004 50%(2/4)であり,視野確保のため先端フードを使用した2012年以降では67%(2/3)であった.3)処置内容は、EPS(5Fr) 1, 吻合部のバルーン拡張+ENPD留置2であった.4)スコープ挿入時間は平均15分(5~30分),総処置時間は平均52分(26~80分)であった.5) 早期偶発症は認めなかった.6) EPS施行例は2ヶ月後に抜去し,32ヶ月後に原病死するまで膵炎の再燃を認めなかった.バルーン拡張を施行した2例はそれぞれ12ヶ月,1ヶ月の観察期間で現在まで膵炎の再燃なく経過している.【結論】SBEを用いた術後膵管空腸吻合部狭窄の治療は,吻合部の同定に課題が残るが手技成功例での効果は比較的良好であった。今後は先端フードやバルーンを腸管壁と密着させ観察するなどの工夫により,成績の向上が期待される.
索引用語 膵管空腸吻合部狭窄, シングルバルーン内視鏡