セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル

トラスツズマブ併用療法後根治切除を施行し組織学的CRが確認されたHER2陽性胃癌の1例

演者 我妻 康平(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
共同演者 斉藤 真由子(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 矢島 秀教(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座DELIMITER市立釧路総合病院 消化器内科), 鈴木 一也(市立釧路総合病院 消化器内科), 石黒 一也(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 一色 祐介(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 村上 佳世(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 小野寺 馨(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 能正 勝彦(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山下 健太郎(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 有村 佳昭(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 信岡 隆幸(札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座), 米澤 勝彦(市立釧路総合病院 消化器内科), 篠村 恭久(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
抄録 症例は66歳,男性.2011年12月頃より心窩部不快感を自覚し,2012年6月上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部の2型進行胃癌(生検病理:Adenocarcinoma, tub2, HER2 3+(IHC法))と診断された.術前診断cT3N2M0,stageIIIAにて切除を試みたが,腫瘍と幽門下リンパ節が一塊となり,結腸間膜にも浸潤していたため根治切除不能と判断され,バイパス手術となった.HER2陽性切除不能局所進行胃癌に対し,2012年7月よりカペシタビン+シスプラチン+トラスツズマブ療法を開始し,画像上原発巣,リンパ節ともに著明に縮小した.有害事象は,食欲不振がGrade3,疲労がGrade2,悪心がGrade1であったが,用量減量により安全に治療継続可能であった.9サイクル目以降はトラスツズマブ単剤で治療を継続していたが,画像的にCRであり根治性が期待できると判断し,2013年3月に再び根治切除術を試みた.初回の開腹時に剥離困難であったリンパ節は比較的容易に処理可能であり,幽門側胃切除術を施行した.最終的な病理組織学的検査では原発巣,周囲リンパ節ともに腫瘍細胞の残存を認めず,化学療法の効果はGrade3 と診断された. 本症例は,初回手術時には根治切除不能であったが,化学療法後に根治切除可能となった.本例のような根治性がBorderlineの症例に対するトラスツズマブ併用療法では化学療法後の切除を含めて最適な治療戦略を構築する必要性があり,切除のタイミングなどの検討が必要と考えられた.
索引用語 HER2陽性胃癌, 組織学的CR