セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル

横隔膜交通症に伴う難治性肝性胸水の1例

演者 中島 正人(帯広第一病院 消化器内科)
共同演者 堀井 享(帯広第一病院 消化器内科), 眞坂 智寛(帯広第一病院 消化器内科), 三関 哲矢(帯広第一病院 消化器内科), 奥 隆臣(帯広第一病院 消化器内科)
抄録 【症例】60歳, 男性. 【主訴】呼吸苦. 【現病歴】B型肝硬変にて当科外来に通院中であったが, 平成24年11月より労作時の呼吸苦を自覚するようになった. 胸部単純X線およびCT検査にて右胸水の貯留を認め, 肝性胸水が疑われた. 利尿剤を増量し経過をみたが改善せず, その後症状が増悪し, 同年12月に入院となった. 【入院後経過】胸腔ドレーンを留置し, 大量の胸水を排出し症状は改善した. 利尿剤の静注, アルブミン製剤の投与を行ったが, その後も胸水の貯留は治まらなかった. 胸水貯留と同時に腹水の減少を認めたことから, 横隔膜交通症を疑い, 診断および治療を目的に, 腹腔鏡検査を施行したところ, 横隔膜に小孔を認めた. それを縫縮し, 吸収性ポリグリコール酸フェルトにて被覆した. また本症例では肝S8に肝外に突出する肝細胞癌を合併しており, これについては腹腔鏡下にラジオ波焼灼療法を行った. 術後, 胸水は消失し腹水の貯留も経口利尿剤にてコントロールが可能となり, 外来にて経過観察中である. 【考察】肝性胸水は心肺に基礎疾患のない肝硬変患者にみられ, 腹水が横隔膜の瘻孔を通して, 陰圧の胸腔内へ貯留するためにおこる. しばしば保存的治療に抵抗性となり治療に苦慮することも少なくない. 本症例では腹腔鏡下に比較的低侵襲に治療することが可能であった. 肝性胸水の診断および治療について、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝性胸水, 腹腔鏡