セッション情報 一般演題

タイトル

慢性膵炎の経過観察中に発症した膵上皮内癌の1切除例

演者 山田  裕人(北海道消化器科病院 内科)
共同演者 木下 幸寿(北海道消化器科病院 内科), 藤澤 良樹(北海道消化器科病院 内科), 町田 卓郎(北海道消化器科病院 内科), 碇 修二(北海道消化器科病院 内科), 加藤 貴司(北海道消化器科病院 内科), 佐々木 清貴(北海道消化器科病院 内科), 中村  英明(北海道消化器科病院 内科), 加賀谷 英俊(北海道消化器科病院 内科), 目黒 高志(北海道消化器科病院 内科), 堀田 彰一(北海道消化器科病院 内科), 森本 浩史(北海道消化器科病院 外科), 楢崎 肇(北海道消化器科病院 外科), 中山 智英(北海道消化器科病院 外科), 加藤 健太郎(北海道消化器科病院 外科), 岡本 圭祐(北海道消化器科病院 外科), 藤田 美芳(北海道消化器科病院 外科), 森田 高行(北海道消化器科病院 外科), 高橋 利幸(北海道消化器科病院 病理)
抄録 症例は73歳、男性。2008年5月に腹痛にて受診。慢性膵炎の急性増悪の診断にて入院。ERCPにて主膵管に狭窄部位を認め、擦過細胞診を施行するも 陰性。その後も3回、膵炎発作で入退院を繰り返し、その都度、狭窄部から擦過細胞診を施行するも陰性であった。画像検査で狭窄部末梢膵管の拡張を認める も狭窄部位に腫瘤性病変を同定できなかった。2013年1月、フォローアップ目的の腹部CTにて、狭窄部末梢膵管の拡張が増大、分枝膵管の拡張も認められ た。狭窄部位のEUSにて腫瘤の同定には至らずも、擦過細胞診にて高分化型腺癌の診断にてSSPPDを施行した。病理学的には、主膵管狭窄部は線維化の みで、腫瘍性病変はなく、末梢膵は腺房の萎縮と脂肪化が目立っていた。狭窄部の末梢分枝膵管にPAN-IN3(CIS)を認め、そのほか主膵管に atypical epitheliumを3病変認めるTis,pN0,M0のStage 0 の上皮内癌であった。上皮病変と膵管狭窄の因果関係は組織学的には明らかではなかった。本症例では、早い段階から膵管狭窄をフォローアップすることによ り、最終的に擦過細胞診で確定診断に至った。しかしながら狭窄部位と腫瘍部位が一致していなかったこともあり、擦過細胞診では正診に至らなかった可能性も考えられる。さらにEUSにても腫瘤の同定に至らず、EUS-FNAでの診断も困難であった。膵上皮内癌は腫瘍の直接描出が困難な症例が多いとされる が、間接所見である膵管の軽微な拡張、分枝膵管の拡張などを呈することがある。慢性膵炎は膵癌の高危険群でもあるため、これらの所見に注意を払い、積極的 な精査を行うべきと思われる。
索引用語 膵癌, 上皮内癌