セッション情報 一般演題

タイトル

肝偽リンパ腫の1例

演者 小川 浩司(市立函館病院 紹介病センター 消化器内科)
共同演者 山梨 香菜(市立函館病院 紹介病センター 消化器内科), 木下 賢治(市立函館病院 紹介病センター 消化器内科), 山本 桂子(市立函館病院 紹介病センター 消化器内科), 大和 弘明(市立函館病院 紹介病センター 消化器内科), 畑中 一映(市立函館病院 紹介病センター 消化器内科), 山本 義也(市立函館病院 紹介病センター 消化器内科), 成瀬 宏仁(市立函館病院 紹介病センター 消化器内科), 砂原 正男(市立函館病院 消化器病センター 消化器外科), 倉内 宣明(市立函館病院 消化器病センター 消化器外科), 工藤 和洋(市立函館病院 臨床病理科), 下山 則彦(市立函館病院 臨床病理科)
抄録 今回我々は肝偽リンパ腫の1切除例を経験したので報告する。症例は68歳女性。平成24年2月、間質性肺炎および右肺炎にて当院呼吸器内科に入院となった。肺炎は抗生剤で改善したものの血液検査で抗Scl-70陽性、抗セントロメア抗体陽性で、手指に限局した皮膚硬化、手足爪上皮出血点、体感の毛細血管拡張、レイノー症状を認め限局性強皮症と考えられた。さらに入院後のCT検査で肝硬変および胸腹水、肝腫瘍を認め当科に紹介となった。胆道系優位の肝機能障害を認め、抗核抗体は陽性であったが抗ミトコンドリア抗体は蛍光抗体法、M2抗体に対するELISA法いずれも陰性であった。さらに造影CT検査では肝S7に動脈相で一部濃染、門脈相で低吸収を呈す腫瘍を認めた。超音波検査では低エコー腫瘤として描出され、造影超音波では造影早期に濃染された。EOB-MRI検査では肝細胞相で低信号、ダイナミック造影では早期濃染、洗い出しを認めた。CTAPでは結節状の増強欠損域を認め、CTHA早期相で濃染された。確定診断目的に経皮的肝腫瘍生検を施行したが、小型で異型の乏しいリンパ球浸潤を認めたが明らかな悪性所見は得られなかった。しかし画像上肝細胞癌を否定できず当院消化器外科に依頼し肝S7部分切除を施行した。腫瘍は灰白色充実性で、組織学的には高度のリンパ球浸潤に組織球浸潤、硝子化抗原線維の混在した腫瘍であった。免疫染色ではCD20陽性、CD79a陽性のB細胞、CD5陽性のT細胞が多数浸潤しリンパ濾胞形成も認めた。類上皮組織球や多核巨細胞も見られたが、いずれも核異型は認めなかった。PCRでも遺伝子再構成を認めず偽リンパ腫と診断された。偽リンパ腫は消化管、眼窩、肺、皮膚などの多くの臓器で報告されているが、肝臓に発生することはまれである。多くは本症例のように肝細胞癌との鑑別が問題となることが多いと言われており、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 偽リンパ腫, 肝腫瘍