セッション情報 |
シンポジウム1 「消化管疾患における画像診断の進歩」
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タイトル |
食道上皮内腫瘍におけるNBI観察時の血管間色調変化“Inter-vascular background coloration”の検討
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演者 |
高橋 正和(北海道大学病院 消化器内科) |
共同演者 |
清水 勇一(北海道大学病院 消化器内科), 加藤 元嗣(北海道大学病院 光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大学病院 消化器内科) |
抄録 |
【背景・目的】食道上皮内腫瘍の内視鏡診断において,ヨード染色によるpink-color sign (PCS)の有無がLow grade intraepithelial neoplasia (LGIN) とHigh grade intraepithelial neoplasia (HGIN) の鑑別に有用であり広く活用されている.近年,食道上皮内腫瘍の内視鏡診断において,腫瘍部のNBI観察におけるIPCL間の色調変化 (Inter-vascular background coloration ; IVB) が注目されているが,IVBの診断能,またその詳しい機序については不明である.今回我々は,PCSと比較したIVBの正診率と診断一致率,IVBの機序として,腫瘍表層に残存した非腫瘍上皮の厚さについて前向きに検討した.【方法】2010年9月から2012年8月までに当院でEGDが施行され,食道NBI観察でのIPCLの拡張と,ヨード染色での不染帯を認め,生検またはEMR/ESDが施行された病変を対象とした.【結果】87症例103病変(SCC/HGIN 48病変,LGIN/non-atypia 55病変)について検討が行われた.IVBを鑑別指標とした場合,SCC/HGINとLGIN/non-atypiaの診断能は,感度93.8%,特異度88.2%, 正診率91.3%であり,PCSを鑑別指標とした場合の感度97.9%,特異度88.2%, 正診率93.2%と有意差は認めなかった(p = 0.79).全103病変における内視鏡専門医3名の診断一致率は,k(IVB) = 0.644,k(PCS) = 0.827と,どちらも高い一致率であった.また,IVBと残存非腫瘍上皮の厚さについての検討結果は,IVB(-)で残存非腫瘍上皮の厚さは118.2μm±15.3μm,IVB(+)では14.3μm±12.0μmと有意な差を認めた(p < 0.01).【考察】IVBを用いた正診率は,PCSの正診率とほぼ同等であったものの,感度および診断一致率がIVBで低い傾向にあった.これらは,まだらヨード不染を呈する症例ではIPCL拡張が散在しており,血管間色調変化が認識しづらくなることが一つの要因である可能性が考えられた.残存非腫瘍上皮の厚さについては,IVBの有無に強く相関しており,IVB出現の機序に最も関与していると予想された.【結語】多くの症例においてNBI血管間色調変化はヨード染色Pink-color signに取って代われるものと考えられた. |
索引用語 |
食道腫瘍, 内視鏡 |