セッション情報 一般演題

タイトル

内視鏡的粘膜下層切開剥離術にて切除し得た、十二指腸浸潤を伴う幽門輪部3/4周性のIIa+IIbの一例

演者 紺野 潤(社会福祉法人 函館厚生院 函館中央病院)
共同演者 廣田 ジョージョ(社会福祉法人 函館厚生院 函館中央病院), 大北 一郎(社会福祉法人 函館厚生院 函館中央病院), 池田 仁(社会福祉法人 函館厚生院 函館中央病院), 伊藤 淳(岩見沢市立総合病院)
抄録 症例は70代、女性。既往歴は60歳子宮脱手術、67歳大腸ポリープポリペクトミー、68歳より糖尿病、70歳より高血圧。
現病歴は、近医での上部内視鏡検査にて幽門輪部に3/4周性の隆起を認めた。同部よりの生検の病理はGroup4で、早期胃癌疑いにて当科に紹介となった。
現症では特記すべきことはなかった。受診時採血にてGHA1c6.3%と軽度上昇以外は異常はなかった。CEA、CA19-9の腫瘍マーカーも正常であった。
外来での上部内視鏡検査にて、前医と同様に幽門輪部に3/4周性の隆起を認め、病理ではやはりGroup4であった。また十二指腸球部前壁側を中心に隆起を認め、胃癌であれば十二指腸浸潤を認める可能性が疑われた。
ご本人およびご家族と相談し、内視鏡的粘膜下層切開剥離術(以下ESD)にて治療することとした。
まず、上部内視鏡はQ260Jを用い、まず胃側よりマーキングを開始し、その後反転走査により十二指腸側をマーキングし、粘膜切開および粘膜下層の剥離を施行した。ある程度終了した時点で胃側の粘膜切開を施行し、十二指腸側の切開断端とつなげ、その後粘膜下層の剥離を施行し一括切除した。
手術時間は約208分、出血や穿孔などの合併症は認めなかった。
病理は0‐IIa+IIb 35X15mm tub.1 UL(-) Iy)-(-) V(-)LM(-) VM(-)Stage1Aの早期胃がんの十二指腸浸潤であった。
幽門輪部の早期胃癌で、十二指腸浸潤をした病変のESDは、反転走査など高度な技術が要求される。しかし外科的手術と比べ侵襲が少なく出来る限り施行すべきであると思われる。
索引用語 早期胃癌, 粘膜下層切開剥離術