セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 胃癌術後に発症したbiliary cast syndromeの1例 |
演者 | 松原 悠(札幌東徳洲会病院 消化器センター) |
共同演者 | 齋藤 博哉(札幌東徳洲会病院 画像・IVRセンター), 巽 亮二(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 好崎 浩司(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 坂本 淳(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 佐藤 龍(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 網塚 久人(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 木村 圭介(札幌東徳洲会病院 消化器センター), 太田 智之(札幌東徳洲会病院 消化器センター) |
抄録 | 症例は59歳男性,H25年9月胃癌に対して幽門輪胃切除+胆嚢摘出術を施行し,Roux-en-Y吻合にて再建を行った.退院後,同年10月に発熱と嘔吐が出現し,悪寒も認められたため当院外来を受診した.血液検査にて肝胆道系酵素の上昇,炎症反応の上昇を認め,腹部造影CTにて肝内胆管の拡張を認めたため,閉塞性黄疸,急生胆管炎の診断にて入院となった.入院後行った腹部エコーにて総胆管と左右肝内胆管内に不整形の高エコー像が認められ,またMRCPでも同領域に不整形なdefect像が認められた.2度内視鏡でのドレナージを試みたものの,Roux-en-Y吻合再建のためカニュレーションが困難であり,経皮胆道ドレナージを行った.胆管造影では左右胆管に狭窄を認め,左右からの数回に及ぶアプローチで内瘻化に成功した.経皮胆道鏡による観察では胆道内に黒色粘調組織が充満していたため,内視鏡下でその除去を行い,狭窄部に生分解ステントを留置した.その後の経過は良好であり,現在外来でのfollowを行っている.本症例は胃癌術後に結石,悪性腫瘍とは異なる慢性炎症組織により胆管が充満し,閉塞性黄疸と急生胆管炎を起こした1例である.胆管内に鋳型に高ビリルビン濃度の胆汁成分やcollagenなどを含む壊死組織が充満しており,biliary cast syndromeと考えられた.biliary cast syndromeは肝移植者に主に認められるとされるが,肝移植を行っていない患者にも稀ながら発症し,胆管炎,胆管虚血,腹部手術が原因になるとされている.内視鏡などを用いた除去や肝移植が治療手段となり,症状によっては致命的となる場合もあるため,疾患の理解に基づく早期診断が必要と考える.肝移植に伴わないbiliary cast syndromeという希少な症例を経験したため,若干の文献的考察を合わせて報告する. |
索引用語 | biliary cast syndrome, nontransplant |