セッション情報 一般演題

タイトル

自己免疫性肝炎に合併したAFPが著明な高値を示し鑑別に苦慮した肝炎症性偽腫瘍の一例

演者 笠原 薫(函館五稜郭病院 消化器内科)
共同演者 牛島  慶子(函館五稜郭病院 消化器内科), 須藤 豪太(函館五稜郭病院 消化器内科), 柾木 喜晴(函館五稜郭病院 消化器内科), 岡 俊州(函館五稜郭病院 消化器内科), 谷津 高文(函館五稜郭病院 消化器内科), 小林 寿久(函館五稜郭病院 消化器内科), 矢和田 敦(函館五稜郭病院 消化器内科)
抄録 症例は63才女性。平成20年より自己免疫性肝炎のため当科外来フォロー中であった。プレドニン維持量で肝機能は落ち着いていたが平成24年12月頃からAST/ALTの軽度上昇を認めるようになり平成25年2月腹部CTを施行したところ肝S7に径50mm大の内部不均一な腫瘍性病変を認めたため3月4日精査加療目的に当科入院となった。血液検査でAFPが著明な高値を示しHCCが疑われたがdynamic CTでは腫瘍は隔壁を有する多房性のう胞性腫瘍であり、胆管細胞癌や転移性腫瘍、膿瘍が疑われた。上部・下部消化管内視鏡では特記すべき異常なく、PET/CTでは腫瘍のSUVは均一で周囲正常肝組織よりも低値であり、他に悪性疾患の存在を疑う所見は認めなかった。腹部血管造影では腫瘍濃染は認めずCTAPでは腫瘍に一致した門脈血流の低下を、CTHAでは腫瘍の周囲及び隔壁構造のみ造影効果を認めた。肝予備能は良好で悪性病変の可能性が否定できないため当院外科に依頼、4月4日肝右葉切除術を施行した。病理の結果は炎症性偽腫瘍で悪性所見は認めなかった。
肝炎症性偽腫瘍は原因不明の肉芽腫組織からなる比較的稀な腫瘍性病変であり悪性腫瘍との鑑別がたびたび問題となる。若干の文献的考察も含めて報告する。
索引用語 炎症性偽腫瘍, 自己免疫性肝炎