セッション情報 一般演題

タイトル

剖検にてEUS-FNAによる播種を確認した膵癌の一例

演者 成瀬 宏仁(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科)
共同演者 山梨 香菜(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 木下 賢治(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 山本 桂子(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 大和 弘明(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 小川 浩司(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 畑中 一映(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 山本 義也(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 工藤 和洋(市立函館病院 病理検査科), 下山 則彦(市立函館病院 病理検査科)
抄録 症例は、72才女性。糖尿病、高血圧症、高脂血症にて近医通院中、糖尿病の悪化を認めたため、2012.3月腹部CT撮像し、膵腫瘍疑われ当科紹介入院となった。造影CTにて、膵体に直径20mmの低吸収域を認め、腹部超音波検査にて肝内に直径10-15mmの低エコー腫瘤散在を認めた。MRIでは、Gd-EOB-DTPAの造影ダイナミック肝細胞相で肝S2、S7、S8に低信号域を認め、拡散強調像で同病変は高信号を示し、肝転移と診断した。ERCPにて、膵管は、体尾部移行部で途絶し、同部より膵管生検、ブラシ擦過、膵液採取細胞診施行したが、悪性所見は確定できなかった。超音波内視鏡にて、胃体中部後壁よりスキャンして、膵の直径25×20mmの低エコー腫瘤を描出し、EUS-FNAを22G針にて4回穿刺し、各30ストローク施行し、組織診adenocarcinoma、細胞診Class5で、膵癌 cT4N0M1 stage4bと診断した。この為、手術非適応と判断し、化学療法 GEM1000mg/m2にて開始し、6コース施行したが、多発肝転移増悪し、化学療法をTS-1 80mg/bodyへ変更した。TS-1 1コース後、上部消化管内視鏡検査で、胃体中部後壁になだらかな隆起が認められ、腫瘍の外方よりの圧排を疑った。TS-1 2コース施行後、肺転移出現し、支持緩和療法継続したが、335病日に死亡し、御家族の同意を得て、剖検を施行した。膵体部と胃体部小弯が癒着しており、癒着部の胃内腔に直径16×15mmの0-2a様の平低な隆起性病変を認め、切開を加えず一塊のままホルマリン固定して検討した。切りだして観察すると、膵腫瘍と胃腫瘍は茎で繋がったような肉眼像を呈し、EUS-FNAの穿刺ルートを介して浸潤したことが推測された。組織学的には、中~高分化型管状腺癌で、EUS-FNAにての組織と同一であった。膵腫瘍に対するEUS-FNAにおける播種の報告はは少ないが、手術適応症例に際しては、播種の危険に十分留意する必要があると思われ、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 EUS-FNA, 播種