セッション情報 シンポジウム1 「消化管疾患における画像診断の進歩」

タイトル

早期胃癌の分化度診断におけるNBI拡大観察の有用性

演者 田沼 徳真(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 木村 有志(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 田中 一成(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 永井 一正(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 浦出 伸治(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 栗原 弘義(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 野村 昌史(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 村上 佳世(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科), 小野寺 馨(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科), 赤保内 正和(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科), 我妻 康平(札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科)
抄録 【背景】早期胃癌の治療方針は、その組織分化度により異なる。近年、胃癌の質的診断におけるNBI拡大観察(以下、NBI)の有用性が報告されているが、分化度診断にどの程度有用かは明らかではない。【目的】早期胃癌の分化度診断におけるNBIの有用性を検証する。【対象】内視鏡切除または手術が施行された早期胃癌のうち、通常観察(白色光+インジゴカルミン散布)とNBIの画像が揃った30病変(高分化15、中分化5、低分化10)。【方法】2施設10名の消化器内科医(NBI:50例以上経験者3名、初学者7名。内視鏡経験2ヶ月~24年、中央値4年)に対し、以下の手順で画像テストを行った。1.通常観察およびNBIによる分化度診断のレクチャーを行う(NBIは八木らの分類に従う)。2.A.通常観察のみ、B.NBIのみ、C.通常観察+NBIの画像集(病変順は不同)を順番に提示し、それぞれの病変の分化度を3択(高分化・中分化・低分化)形式で回答する。3.A~Cの正答率を比較検討する。【結果】正答率はA.46.7%B.51.7%C.55.3%(Avs.C: P=0.08)であった。分化度別の正答率は高分化型A.53.3%B.54.7%C.54.7%、中分化型A.36%B.42%C.60%(Avs.C: P=0.04)、低分化型A.44.4%B.52.2%C.54.4%(Avs.C: P=0.16)であった。NBI経験別では、経験者A.45.6%B56.7%C63.3%(Avs.C: P=0.004)、初学者47.1%B49.5%C51.9%であった。【考察】早期胃癌の分化度診断においてNBIは有用であることが示唆された。特に中分化型腺癌や低分化型腺癌の診断においてNBIの上乗せ効果が認められた。また、NBI経験者では診断能上昇がより顕著であり、熟練によりNBIの診断精度が向上することが分かった。今後さらに追加検討を行う予定である。
索引用語 分化度, NBI拡大観察