セッション情報 一般演題

タイトル

多発早期胃癌の危険因子の検討

演者 水島 健(北見赤十字病院 消化器内科)
共同演者 岩永 一郎(北見赤十字病院 消化器内科), 大原 正嗣(北見赤十字病院 消化器内科), 杉浦 諒(北見赤十字病院 消化器内科), 宮本 秀一(北見赤十字病院 消化器内科), 江平 宣起(北見赤十字病院 消化器内科), 上林 実(北見赤十字病院 消化器内科)
抄録 【背景】 ピロリ菌の除菌で胃癌発生のリスクを減少させる事が可能となり,DNAメチル化異常の蓄積の程度が多発胃癌のリスクである可能性が解明されつつあり,高リスク群の絞り込みが将来的には可能となっていく.一方で早期胃癌に対する治療は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD),腹腔鏡下手術などの縮小手術が普及し胃の温存が可能となったが,発癌母地が残存するため今後は同時性・異時性の多発胃癌の拾い上げが重要となる.【目的】多発胃癌に関しての危険因子の探索を行うと共に,その臨床的特徴の検討を行う. 【対象・方法】2006年6月~2011年12月に当院でESD,外科手術を施行した早期胃癌234症例273病変を対象とした.多発胃癌の危険因子として性別,年齢,部位,黄色腫の有無,肉眼型,組織型,委縮の程度(木村・竹本分類に準じclose/open type),腫瘍径,深達度の9項目を挙げロジスティック回帰分析を用いて解析を行った.次に多発胃癌39症例85病変を抽出し,深達度が深い病変または径の大きな病変を第一癌と定義し,その他の多発胃癌46病変に対して局在,組織型,肉眼型,色調に関して検討した.尚,本検討では同時・異時性癌は区別せず検討を行った.【結果】多発胃癌の危険因子として年齢[オッズ比:1.052,P=.008],open typeの委縮[オッズ比:6.484,P<0.001]が検出された.臨床的特徴は局在に関しては第一癌と同一領域:50%,隣接領域:45.7%,遠隔領域:4.3%,組織型,色調に関しては91.3%,82.6%で第一癌と同組織型,同色調であった.【結語】高齢,委縮の程度が強い場合は多発胃癌の存在に注意し内視鏡観察を行う必要がある.また,多発胃癌の臨床的特徴は第一癌に比較的近い部位に存在し同色調である事が多く,内視鏡時にはそれらの情報が多発胃癌の拾い上げの手助けとなる可能性があるが,一方で胃全域を入念に観察していく必要もあると考えられた.
索引用語 多発胃癌, 危険因子